アルトゥール・ロジンスキ

アルトゥール・ロジンスキ：ポーランドの力量を訴えた指揮者

アルトゥール・ロジンスキ（Artur Rodziński, 1892年1月1日 - 1958年11月27日）は、オーストリア帝国に生まれ、アメリカ合衆国で音楽界に大きな影響を与えたポーランドの指揮者です。彼の旅は雑多な背景から始まり、音楽に対する情熱がその後の道を切り開きました。

生涯とキャリアの歩み

ポーランド人の両親のもと、当時オーストリア＝ハンガリー帝国に属したスパラト（現在のクロアチア・スプリト）で生まれ育ったロジンスキは、まず法学を学びました。1914年にはウィーンに移り、法学をさらに学ぶ一方で、ウィーン音楽アカデミーで音楽を修めました。1916年には法学博士号を取得し、音楽へと進路を移したのです。

彼の指揮者キャリアは1918年にポーランドに戻り、ヴェルディのオペラ「エルナーニ」を指揮することでスタートを切りました。その後、ロジンスキはアメリカに渡り、1925年から1929年までフィラデルフィア管弦楽団で活動し、1929年からはロサンジェルス・フィルハーモニー管弦楽団の指揮を務めました。

1943年にはニューヨーク・フィルハーモニックの常任指揮者に就任し、その後音楽監督として職務を全うすることとなります。彼はその権限を駆使し、大規模な人事刷新を実行しましたが、芸術面での経営陣との確執が影響し、1947年には解任されたのです。

その後、シカゴ交響楽団に参加するも、財政問題に悩まされ、再びヨーロッパへ戻ることになります。健康を害しながらも録音活動を続けましたが、1958年にはシカゴ・リリック・オペラでの公演中に急逝しました。

演奏スタイルとレコーディング

ロジンスキはスピード感や色彩感を重視し、オーケストラの表現力を引き出す情熱的な指揮スタイルが特徴でした。特に彼の録音の中でよく言及されるのは、ウィーン・フィルとの共演によるモーツァルトのクラリネット協奏曲です。さらに、ドヴォルザークの「新世界交響曲」や、スクリャービンの「法悦の詩」といった多岐にわたる作品を手がけ、その幅広いレパートリーでも知られています。

逸話と人間性

ロジンスキの強い個性は、指揮者としての活動においても際立っており、特にニューヨーク・フィルでの厳しいリハーサルと楽員のリストラは有名です。彼は音楽の進化を追求する一方、経営陣との摩擦も多く、辞任の際には「独裁者」と非難されました。

彼の人間的な側面もまた興味深く、若手音楽家の育成にも力を入れていました。レナード・バーンスタインの才能を早くから見出し、彼を副指揮者として育てた事例などはその好例です。ロジンスキは自身が育てた若手の音楽家に対して大きな期待を寄せていましたが、激情的な性格が時に衝突を引き起こすこともありました。

このように、アルトゥール・ロジンスキは音楽界に卓越した影響を及ぼした指揮者であり、その業績と情熱は現在も多くの音楽家や愛好家に受け継がれています。

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