アルトゥーロ・サンドヴァル

アルトゥーロ・サンドヴァル（Arturo Sandoval、1949年11月6日 - ）は、キューバが生んだ世界的なジャズ・トランペット奏者です。その超絶技巧と、フリューゲルホルンで奏でる甘美な音色のギャップが、多くのファンを魅了しています。

生い立ちと音楽との出会い

サンドヴァルは、首都ハバナに近いラ・アバナ州アルテミサで生まれました。幼い頃から音楽に触れ、チャーリー・パーカー、クリフォード・ブラウン、ディジー・ガレスピーといったジャズの巨匠たちのビバップに夢中になります。1965年にはプロとしての活動を開始し、その才能を開花させていきました。

キューバからアメリカへ

キューバ国営バンド「イラケレ」での活躍を経て、1990年にアメリカ合衆国へ亡命。1999年にはアメリカに帰化し、新たな音楽人生をスタートさせました。彼の波乱万丈な半生は、2000年にアンディ・ガルシア主演のテレビ映画『For Love or Country: The Arturo Sandoval Story』として映像化され、大きな感動を呼びました。

卓越した演奏スタイル

サンドヴァルのトランペット演奏は、まさに圧巻です。超音波のような超高音域を、信じられないほどの速いフレーズで奏でることが特徴で、聴く者を圧倒します。しかし、フリューゲルホルンに持ち替えると、その超絶技巧を感じさせない、温かく柔らかい音色を奏でるのです。ラテン音楽特有の明るいノリと、クリフォード・ブラウンから影響を受けた4ビートの落ち着いたノリを融合させた、独自のスタイルを確立しています。

多彩な才能

サンドヴァルは、トランペット奏者としてだけでなく、アレンジャーとしても才能を発揮しています。クラシック、サルサ、ビバップなど、様々なスタイルの音楽のアレンジを手がけ、その音楽性の幅広さを示しています。また、ピアノの腕前も確かで、ピアノ演奏によるアルバムもリリースしています。

ディスコグラフィ（一部）

サンドヴァルは、数多くのアルバムをリリースしています。以下はその一部です。
Havana - with David Amram (1976)
New York - with David Amram (1977)
Breaking the Sound Barrier (1983)
Flight to Freedom (1991)
I Remember Clifford (1992)
Danzon (Dance On) (1993)
Cubano (1994)
Swingin (1996)
Hot House (1998)
Dear Diz (Every Day I Think of You) (2012)

共演者

サンドヴァルは、数多くのミュージシャンと共演しています。ケニー・カークランド、チャーネット・モフェット、ケニー・ワシントンなどがその代表です。

著書

サンドヴァルは、トランペットの教則本も執筆しています。
PERFORMANCE STUDIES FOR TRUMPET Volume 1,2,3 (HAL LEONARD社刊)
Brass Playing Concepts (Editions BIM社刊)

アルトゥーロ・サンドヴァルは、その卓越した音楽性と、不屈の精神で、世界中の音楽ファンを魅了し続けています。

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