アルヌルフ (東フランク王)

アルヌルフ・フォン・ケルンテン

アルヌルフ・フォン・ケルンテン（Arnulf von Kärnten、850年頃 - 899年12月8日）は、カロリング朝の第3代、かつ5人目の東フランク国王であり（在位：887年 - 899年）、またローマ皇帝としても在位しました（896年 - 899年）。彼の政治的な姿勢は外敵との戦いに勝利を収める一方で、健康を害することとなり、その功績を享受することができないまま生涯を終えました。

生い立ちと即位

アルヌルフはバイエルン公カールマンとリウスヴィントの間に生まれた庶子で、887年に叔父の皇帝カール3世が退位した後に東フランクとロタリンギアを継承しました。彼の即位に伴い、現在のスロベニア周辺を指す「カランタニア」という地域名も用いられるようになりました。カールマンはこの地域に王宮を構え、アルヌルフはその地で幼少期を過ごし、カランタニア人からは自らの君主として認識されました。

軍事的業績

アルヌルフの治世は多くの戦闘に彩られています。彼は交渉の道を選ぶことなく、常に戦いをもって敵に立ち向かいました。891年9月のルーヴァンの戦いでは、ノルマン人（ヴァイキング）に対し圧倒的な勝利を収め、その結果、彼らの侵入を阻止しました。この戦いの後、彼はディール川の中州に城を築き、彼の勝利は『フルダ年代記』によれば、ノルマン人の死体が川の流れを堰き止めるほどだったと言われています。

891年もしくは892年、また894年もしくは895年には、現在のハンガリー地域で大モラヴィア王国に対抗し、その軍勢を破りました。899年にも再び大モラヴィア王国と交戦しましたが、征服には至りませんでした。895年には、ボヘミア公ボリヴォイ1世との間で合意が成立し、ボヘミアは大モラヴィア王国から独立しアルヌルフの臣下となります。

896年には、ローマ侵攻を行い、時のローマ教皇フォルモススによってローマ皇帝に戴冠されました。しかし、899年に彼が亡くなると、その後を息子のルートヴィヒ4世が継承しました。

家族について

アルヌルフは888年頃にコンラディン家のヘッセンガウ伯ベレンガルの娘オーダ（ウータ）と結婚し、唯一の嫡子を儲けました。彼の末っ子であるルートヴィヒ4世（893年 - 911年）は、カロリング朝最後の東フランク王となります。また、アルヌルフには他にも幾人かの子女がおり、長女グリスムートはコンラディン家のラーンガウ伯に嫁ぎ、さらに歴史的な人物を産むこととなります。次男のラトルトはイタリア王となり、次女のエルリンラートはオストマルクの東方辺境伯と結婚しました。

結論

アルヌルフ・フォン・ケルンテンは、その戦士としての姿勢と政治的手腕で東フランク国の歴史に名を刻むことになりました。しかし、長い戦争の果てに病に倒れた彼の遺産は、彼が生涯を通じて成し遂げた業績をもとに今も語り継がれています。その影響は、後世の統治者たちに対しても深く根付いていることが伺えます。

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