コンラディン家とは？意味をやさしく解説

コンラディン家：ドイツ史における一族の興亡

コンラディン家は、中世初期のドイツ、フランケン地方に勢力を持った一族です。「コンラート家」とも呼ばれ、ドイツ王を輩出したことから「コンラディン朝」または「コンラート朝」とも称されます。また、ザーリアー家と関係が深いため、同じく「フランケン朝」と呼ばれることもあります。

歴史

勃興と東フランク王家との関係

832年、テューリンゲンのラーンガウ伯ゲープハルトを始祖とするコンラディン家は、ゲープハルトの子ウード、コンラート（大コンラート）へと受け継がれました。大コンラートは東フランク王アルヌルフの庶腹の長女グリスムートを妻に迎え、従妹オーダがアルヌルフの妃となり後のルートヴィヒ4世を産むなど、東フランク王家との関係を深めました。

バーベンベルク家との争い

9世紀後半、コンラディン家はフランケンおよびテューリンゲンの支配を巡り、バーベンベルク家と争いました。東フランク王アルヌルフが女婿である大コンラートを支持したため、バーベンベルク家は衰退し、ボヘミアとオーストリアの支配を維持するにとどまりました。

コンラート1世の即位

大コンラートの子、小コンラートことコンラート1世はフランケン公の地位を確立。母が東フランク王国の王女グリスムートであったことから、911年に母方の叔父ルードヴィヒ4世が亡くなると、ザクセン公ハインリヒ1世の推挙により、コンラート1世がドイツ王となりました。

内紛と衰退

しかし、コンラート1世は有力貴族であるザクセン公ハインリヒ1世と対立を繰り返しました。ロートリンゲンを西フランクに奪われ、統制力を弱めたコンラディン家は、反抗する部族大公との抗争の最中にコンラート1世が負傷。918年、後継者のいないまま重病となったコンラート1世は、宿敵ハインリヒ1世を後継者に指名し、37歳で死去しました。その後、娘の孫のひ孫にあたるコンラート2世がザーリアー朝を起こし、神聖ローマ皇帝となりました。

フランケン公の地位は弟のエーバーハルト3世が継ぎましたが、939年に戦死。ラーンガウ伯の地位は末弟のオットーが継ぎましたが、彼もまた子を残せず亡くなりました。これにより、フランケン公系のコンラディン家は断絶しました。ただし、コンラート1世の女婿であるヴォルムス伯ヴェルナー5世がフランケン公を相続しています。

ロートリンゲンにおけるコンラディン家

コンラディン家はロートリンゲンにも所領を持っていました。大コンラートの弟ヴェッテラウ伯ゲープハルトは、903年頃にロートリンゲン公となりますが、910年に戦死。その地位を失います。ゲープハルトの子ヘルマン1世は、シュヴァーベン大公ブルヒャルト2世の寡婦レゲリンダと結婚し、926年にシュヴァーベン大公の地位を得ました。その後、シュヴァーベン大公位はリウドルフ、オットー1世と継承されますが、オットー1世が嗣子なく982年に死去すると、コンラディン家のコンラート1世がシュヴァーベン大公に任じられ、以降、コンラディン家がシュヴァーベン大公位を世襲しました。1012年、ヘルマン3世が嗣子なく没し、シュヴァーベン公系コンラディン家も断絶しました。

コンラディン家は、一時はドイツ王を輩出するほどの勢力を持ったものの、内紛や後継者不足により衰退しました。しかし、その血脈はザーリアー朝へと受け継がれ、神聖ローマ帝国の歴史に名を刻みました。

コンラディン家