アルバート・マルガイ

アルバート・マイケル・マルガイ：シエラレオネの首相とその波乱の人生

アルバート・マイケル・マルガイ (1910年10月19日-1980年12月18日) は、シエラレオネを代表する政治家の1人です。初代首相ミルトン・マルガイの実弟であり、彼自身もシエラレオネの内閣総理大臣を務めました。その生涯は、政治的成功と挫折、そして時代の激動を反映する、ドラマチックなものでした。

早期の人生とキャリア

マルガイは1910年、シエラレオネ南部州モヤンバ地区でメンデ族の家庭に生まれました。フリータウンのセント・エドワード中学校で教育を受け、その後は看護士として13年間従事しました。1948年にはイギリスに渡り法律を学び、帰国後は弁護士として活躍します。最高裁判所や議会で活動し、憲法論議にも積極的に関与しました。特にシエラレオネ内陸部の保護領に関心を寄せ、その代表的なスポークスマンとして知られました。

政治への参入とSLPP

政治への参入は1951年、立法議会への選出から始まります。その後、文部大臣などの要職を歴任し、政治家としての地位を確立しました。1958年には、シアカ・スティーブンスと共にシエラレオネ人民党(SLPP)を離党し、人民国家党(PNP)を結成します。これは、より強硬な政治路線への転換を示すものでした。1961年、兄ミルトン・マルガイの下でシエラレオネはイギリスから独立を達成します。アルバート・マルガイは兄の政権において重要な役割を果たし、財務大臣などを務めました。財務大臣時代には、シエラレオネの通貨をレオンに切り替え、シエラレオネ銀行の設立にも尽力しました。

首相就任と政治的転落

1964年、兄ミルトンの急死により、アルバート・マルガイは首相の座を引き継ぎます。しかし、彼の首相在任は長くは続きませんでした。贅沢な生活や汚職への関与、そして出身部族であるメンデ族への偏った政策が、国民からの批判を招いたのです。さらに、1966年には、イギリスの君主を元首とする立憲君主制から、大統領制の一党国家への変更を主張しました。この提案は、野党や他の部族からの強い反発を招き、失敗に終わります。

クーデターと亡命

1967年の総選挙では、マルガイ政権への批判が集中し、野党の全人民会議(APC)が勝利します。しかし、マルガイは選挙結果を認めず、一党制への変更を強行しようとしました。これにより、シエラレオネ全土で暴動が勃発し、彼の政府は非常事態宣言を出します。その後、軍事クーデターが発生し、マルガイは失脚。権力を失ったマルガイは、1980年にアメリカ合衆国ワシントンD.C.で亡くなりました。

政治的遺産

アルバート・マルガイの政治的遺産は複雑です。経済政策面での功績も認められる一方で、汚職や部族主義への傾倒、民主主義の軽視は批判の的となっています。彼の首相在任は短命に終わりましたが、シエラレオネの政治史において重要な転換期を象徴する存在であることは間違いありません。彼の息子チャールズ・マルガイは、現在もシエラレオネの政治に携わっており、父アルバートの政治的遺産は、現在もシエラレオネの政治に影を落としています。

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