シアカ・スティーブンス

シアカ・スティーブンス：シエラレオネの政治における波乱万丈

シアカ・プロビン・スティーブンス（1905年8月24日 - 1988年5月29日）は、シエラレオネの政治史において重要な役割を果たした人物です。彼は全人民会議（APC）の創立者であり、1971年から1985年までシエラレオネの大統領を務めました。彼の生涯は、政治的な駆け引き、権力闘争、そして最終的には独裁政治へと向かう、波乱に満ちたものでした。

権力掌握までの道のり

スティーブンスは、現在の南部州モヤンバで生まれました。政治家としてのキャリアは、シエラレオネ人民党（SLPP）からの離脱と、人民国家党（PNP）の結成から始まりました。その後、国民連合政権を経て、独立前選挙維進運動（EBIM）を組織し、全人民会議（APC）へと発展させました。

1967年の総選挙で、スティーブンス率いるAPCは、当時のアルバート・マルガイ首相率いるSLPPに勝利し、スティーブンスは首相に指名されました。しかし、マルガイ派の軍事クーデターにより、一時的に逮捕され、ギニアへ亡命することになります。その後、軍事政権の腐敗に対する不満が高まり、スティーブンスを支持するクーデターが発生し、彼は再び首相として復帰しました。

大統領就任と独裁政治

1971年、スティーブンスは暗殺計画の発覚を機に、ギニアとの同盟を強化し、独裁体制を築き始めました。彼は、かつて反対していた一党共和制を導入し、自ら大統領に就任しました。1976年には大統領に再選され、1978年には一党共和制による独裁政権を確立しました。

しかし、彼の政策は経済の悪化を招き、国有化したマランパ鉱山の閉山やダイヤモンドの国際価格の下落が、シエラレオネ経済に深刻な打撃を与えました。独裁政権は腐敗の一途をたどり、民衆の不満が高まりました。貧困の拡大と政府への不満は、後のシエラレオネ内戦の遠因となりました。

1985年、スティーブンスは大統領候補として再出馬せず、軍人のジョセフ・サイドゥ・モモ将軍を後継者として指名しました。しかし、1987年には、スティーブンス派によるモモ政権に対するクーデター計画が失敗に終わりました。

シアカ・スティーブンスの政治的な遺産は、複雑で多岐にわたります。彼はシエラレオネの独立と発展に貢献した一方で、独裁政治と経済の悪化を招いた責任も負っています。彼の生涯は、権力と政治の危うさ、そして国家の将来に与える影響について、私たちに深い教訓を与えてくれます。

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