アルピーニ

アルピーニとは

アルピーニ（Alpini）はイタリア陸軍のエリート部隊であり、特に山岳戦に特化した兵科です。その名称は、イタリア語で「高所」を意味する「アルピーノ（Alpino）」から来ており、イタリアの地理的特徴を反映しています。

歴史

創設の背景

アルピーニの起源は1872年に遡ります。この年にはサヴォイア朝イタリア王国が成立した直後、王立山岳連隊が創設されました。イタリアは地理的に南部が地中海に面し、北部はアルプス山脈に囲まれています。これにより、特にフランスやオーストリアとの戦闘では山岳戦が重要な役割を果たしました。そこで、イタリア軍は国内の山岳地帯に住む住民を基盤にした専門部隊の創設が急務となったのです。

1872年、ジュゼッペ・ペッルッケッティの提案により、イタリア各地の山岳地域から部隊が編成されることになり、イタリア王ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世の命令でアルピーニ連隊が設立されました。この部隊は、民間の知識や経験を活かした柔軟な編成によって短期間で強力な山岳部隊に成長しました。1887年には部隊が7個大隊にまで膨れ上がり、また、イタリアの植民地戦争にも対応する形で外征部隊も編成されることとなりました。

第一次世界大戦

第一次世界大戦が始まると、イタリアはオーストリア＝ハンガリー帝国に対して戦争を宣言しました。戦場はアルプス北東部に移り、険しい山岳地帯での戦闘を想定したため、アルピーニ部隊の力が大いに期待されました。イタリア軍は、アルピーニ部隊を4個師団に拡大し、山岳軍集団として命令系統を統一しました。戦闘は非常に過酷で、冬の寒さが兵士たちに厳しい試練を与えました。

この戦争中、アルピーニ兵は山登りやスキーの訓練を受けており、数多くの英雄的な行動で知られるようになりました。結果として、トリエステと南チロルの併合に成功し、アルピーニ兵はイタリア国民にとって民族的な英雄とされました。

第二次世界大戦とその後

戦間期には部隊が縮小されたものの、ファシスト政権下で再び規模が拡大されました。戦争中盤では、アルピーニ部隊はロシアに派遣され、冬季戦闘でその実力を示しました。大戦中、以下の6つのアルピーニ師団が編成されました：

• - 第1山岳師団「タウリネンセ Taurinense」
• - 第2山岳師団「トリデンティーナ Tridentina」
• - 第3山岳師団「ユリア Julia」
• - 第4山岳師団「クネエンセ Cuneense」
• - 第5山岳師団「プステリア Pusteria」
• - 第6山岳師団「アルピ・グライエ Alpi Graie」

第二次世界大戦後、イタリアは共和制になり、新たに5つの山岳旅団が編成されました：

• - 第1山岳旅団「タウリネンセ Taurinense」
• - 第2山岳旅団「オロビカ Orobica」
• - 第3山岳旅団「トリデンティーナ Tridentina」
• - 第4山岳旅団「カドーレ Cadore」
• - 第5山岳旅団「ユリア Julia」

特徴

アルピーニの伝統として、「幼い時から山で暮らす者」という基準が堅持されているため、志願者は主に指定の地域に住む者に限られています。このため、家族代々がアルピーニ兵を継承することが珍しくありません。部隊内の結束は非常に強く、年に一度、全イタリアのアルピーニ兵が集まる祭りが行われます。この際、町には何十万ものアルピーニ兵が訪れ、共に再会を祝う光景が見られ、地元の住民たちも彼らを盛大に歓迎します。

関連項目

• - イタリア陸軍
• - 山岳戦
• - アルペン猟兵（フランス陸軍の山岳部隊）
• - 山岳猟兵（ドイツ陸軍の山岳部隊）
• - 第10山岳師団（アメリカ軍）

もう一度検索