アルフォンソ・デ・オルレアンス

アルフォンソ・デ・オルレアンス・イ・ボルボン：スペイン王族、空軍軍人、そしてガリエラ公

アルフォンソ・デ・オルレアンス・イ・ボルボン（1886年11月12日 - 1975年8月6日）は、スペインの王族であり、スペイン王子（Infante de España）の称号を持つ人物でした。彼はまた、第5代ガリエラ公としても知られ、スペイン空軍の軍人としても重要な役割を果たしました。

生い立ちと教育

アルフォンソは、スペイン王子アントニオと、スペイン女王イサベル2世の娘であるエウラリア王女の間に、マドリードで生まれました。彼は幼少期を王族の一員として過ごし、1899年には弟のルイス・フェルナンドと共にイングランドに留学し、イエズス会が運営するボーモント・カレッジで教育を受けました。兄弟は1904年までイギリスで学び、国際的な視野を広げました。

結婚と家族

1909年、アルフォンソはドイツのコーブルクで、ザクセン＝コーブルク＝ゴータ公アルフレッドの娘ベアトリスと結婚しました。ベアトリスはイギリス女王ヴィクトリアの孫娘であり、イギリス王女の称号を持っていました。結婚は民事婚と宗教婚の両方で行われましたが、ベアトリスがプロテスタントであったため、カトリックへの改宗を巡って問題が生じました。アルフォンソ13世は二人の結婚に好意的でしたが、スペイン政府は王族の結婚相手がプロテスタント信徒であることを容認しませんでした。最終的に、アルフォンソは軍の連隊からの除隊を余儀なくされましたが、後に地位と称号を回復しました。ベアトリスも1913年にカトリックに改宗しています。

二人の間には、アルバロ・アントニオ、アルフォンソ・マリア、アタウルフォ・カルロスの3人の息子が生まれました。

軍人としてのキャリア

アルフォンソは1906年にトレド陸軍大学を卒業し、1910年にはフランスでパイロットになるための訓練を受けました。彼はスペインにおける航空機操縦士の草分けとして活躍し、1925年のアル・ホセイマへの上陸作戦では空中作戦の指揮官を務めました。1931年にはスペイン空軍の参謀長および第1空軍管区の司令官に任命されました。

スペイン第2共和国政府が成立すると、アルフォンソはロンドンに亡命しましたが、帰国後に逮捕され、西サハラの刑務所に収監されました。しかし、彼は脱獄に成功し、リスボンに逃れました。スペイン内戦が勃発すると、フランコ将軍の下で空軍を指揮し、内戦後には将軍に取り立てられ、第2空軍管区の司令官となりました。

王政復古への願いと晩年

アルフォンソは長年にわたり、国王アルフォンソ13世の後継者であるバルセロナ伯爵の非公式な代理人を務めていました。彼は王政復古を支持し、政治的な活動も行いました。1945年には、バルセロナ伯爵の発表した王政復古のためのマニフェストを支持して、空軍を退役しました。その後も民間の操縦士として活動を続けました。

1975年8月、フアン・カルロス1世による王政復古が実現する3か月前に、アルフォンソはサンルーカル・デ・バラメーダの宮殿で死去しました。89歳でした。

日本との関わり

1912年9月、明治天皇の大喪儀にアルフォンソ13世の名代として参列するため、日本を訪れています。

アルフォンソ・デ・オルレアンス・イ・ボルボンは、スペインの激動の時代を生き、王族、軍人、そして政治的な活動家として、その生涯を捧げました。

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