アルヘシラス会議

アルヘシラス会議の概要

アルヘシラス会議は、1906年1月16日から4月7日にかけて、スペインのアルヘシラス市で行われた国際的な会議です。この会議は、ドイツとフランスの間で起こった第一次モロッコ事件の解決を目的としており、合計13の欧米諸国が参加しました。ドイツ側からの提案により開催されたこの会議は、当時の国際政治の緊張を緩和する重要な場となりました。

背景

アルヘシラス会議のきっかけは、フランスが1904年に結んだ英仏協商に起因しています。この協定により、フランスはエジプトにおけるイギリスの優越権を承認する代わりに、モロッコにおける優位性を獲得しました。この状況に不満を抱いていたドイツは、フランスの影響力を削ぐチャンスを伺っていました。

特に、1905年にドイツ皇帝ヴィルヘルム2世がモロッコのタンジールを訪問し、モロッコの領土保全と国際会議の開催を主張したことで、独仏間の対立は深刻化しました。この事件が第一次モロッコ事件と呼ばれ、国際的な緊張を引き起こしました。しかしフランスは、イギリスやロシアからの軍事援助が見込めないことを理解し、強硬策を放棄し、外交的解決を模索することを決定しました。

会議の進行

アルヘシラス会議は、モロッコの治安と財政改革に関する問題を巡り、ドイツとフランスの対立が続きました。フランスは他の参加国から支援を受ける一方で、ドイツを支持したのは消極的な姿勢のオーストリア・ハンガリー帝国のみでした。このため、会議の進行は非常に困難を極めました。

それでも、参加国は何度も交渉を重ね、最終的にはドイツが譲歩する形で合意に至りました。4月7日、アルヘシラス議定書が調印され、会議は正式に閉幕しました。

アルヘシラス議定書の内容

議定書には、モロッコの独立、領土保全、経済的機会の均等が規定されており、一見するとフランスの影響力が後退したように見える内容でした。しかし、フランスは他国よりも多くの資金を提供して国立銀行を設立することが約束され、またモロッコにおける警察権の指揮はフランスとスペインのみに与えられることとなりました。

この結果、モロッコは事実上フランス（およびスペイン）の影響下に組み込まれることになり、フランスのモロッコに対する内政改革要求の正当性が強化されました。

結論

アルヘシラス会議は、モロッコにおける大国の利権の分配と国際的な平和を維持するための重要な役割を果たしました。これにより、ドイツとフランスの対立は暫定的に緩和され、モロッコの国際的地位が再確認される結果となりました。

もう一度検索