アルベルト・ギュンター

アルベルト・ギュンター（1830年10月3日 - 1914年2月1日）は、ドイツのエスリンゲン・アム・ネッカーで生まれました。彼は、ボンとベルリンで神学を学んだ後、テュービンゲン大学で医学を修めました。その後、ギュンターは動物学、特に魚類、爬虫類、両生類の研究に情熱を注ぎ、その分野で世界的な権威となりました。

1857年、ギュンターは大英博物館に魚類学者として迎えられ、ジョン・エドワード・グレーの後任として、ロンドン自然史博物館の動物学学芸員に就任しました。彼は1895年までその職を務め、博物館のコレクションの発展に大きく貢献しました。ギュンターの最も重要な業績の一つは、8巻に及ぶ『魚類図鑑』（1859年–1870年、Ray Society）の出版です。この図鑑は、当時の魚類学研究の基礎となるものでした。また、彼は爬虫類や両生類のコレクションの研究にも力を注ぎ、それらの分類学に大きな進歩をもたらしました。

ギュンターは、研究成果の発表だけでなく、動物学の発展にも大きく貢献しました。1864年には、動物学に関する文献を記録する『動物学文献記録』（the Record of Zoological Literature）を創刊し、6年間編集者を務めました。この雑誌は、現在では「Zoological Record」としてトムソンロイター社からオンラインでも発行され、動物学研究に不可欠な情報源となっています。2014年には創刊150周年を迎えました。

1874年、ギュンターはイギリスの国籍を取得しました。彼は研究者としてだけでなく、学会の要職も歴任しました。1867年には王立協会の会員に選出され、1875年から1876年まで副会長を務めました。また、動物学会の委員を40年間にわたって務め、1877年にはロンドン・リンネ協会の会員に選ばれ、1896年から1900年まで会長を務めました。1878年には、その卓越した科学的貢献を称えられ、王立協会からロイヤル・メダルを授与されました。

ギュンターは、分類学においても重要な業績を残しました。日本固有種のミズラモグラ（Euroscaptor mizura (Günther, 1880)）は、彼が1880年に神奈川県横浜市産の標本に基づいて新種記載したものです。このことは、ギュンターの研究が世界各地の生物多様性の解明に貢献した一例と言えるでしょう。

ギュンターの業績は多岐にわたり、彼の研究は現代の動物学研究の基礎となっています。彼の著書や論文は、今でも多くの研究者にとって貴重な資料となっています。また、彼が創刊した『動物学文献記録』は、世界中の動物学研究の動向を把握するための重要なツールとして活用されています。

関連人物
オールドフィールド・トーマス

関連項目
ロンドン自然史博物館
ミズラモグラ

参考文献
Thomsonreuters (2013), ZOOLOGICAL RECORD, http://thomsonreuters.com/products_services/science/science_products/a-z/zoological_record/ 2013年5月31日閲覧。
Günther, A. (1880), “Notes on some Japanese Mammalia”, Proc. Zool. Soc. London 1880: 441

出典
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