アルベルト・フォン・シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン＝ゾンダーブルク＝アウグステンブルク

アルベルト・フォン・シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン＝ゾンダーブルク＝アウグステンブルク（1869年2月26日 - 1931年4月27日）は、シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン＝ゾンダーブルク＝アウグステンブルク家の最後の家長であり、名目上のシュレースヴィヒ＝ホルシュタイン公でした。

生い立ちと軍歴

アルベルトは、イギリスのヴィクトリア女王の娘ヘレナと、その夫であるアウグステンブルク公子クリスティアンの次男として生まれました。彼はイギリス王室の一員として、ロンドンのカンバーランド・ロッジで幼少期を過ごしました。兄のクリスティアン・ヴィクターと同様に軍人としての道を歩みましたが、兄がイギリス軍に入隊したのに対し、アルベルトはプロイセン軍に入隊し、近衛軍第3槍騎兵連隊所属の陸軍中佐にまで昇進しました。

第一次世界大戦と家名の変更

第一次世界大戦中、アルベルトはドイツ皇帝ヴィルヘルム2世からベルリン軍管区の司令官参謀として働くよう命じられました。しかし、彼の両親と妹たちはイギリスに滞在しており、1917年にはドイツ系の家名を捨てるという決断をしています。これは、戦争によって引き裂かれた家族の苦悩を物語る出来事と言えるでしょう。

アウグステンブルク家家長として

1921年、アルベルトは従兄のエルンスト・ギュンターからアウグステンブルク家家長の地位を受け継ぎ、名目上のシュレースヴィヒ＝ホルシュタイン公となりました。アウグステンブルク家は、1863年以降オルデンブルク家の嫡系となっており、オルデンブルク家の分家にはデンマーク、ギリシャ、ノルウェー王家であるグリュックスブルク家や、ロシア皇帝家であるホルシュタイン＝ゴットルプ（＝ロマノフ）家がありました。アルベルトは、これらの名門王家とも血縁関係にあったのです。

アウグステンブルク家の断絶

1931年にアルベルトが亡くなると、アウグステンブルク家は断絶しました。オルデンブルク家家長の地位は、グリュックスブルク家の家長であるフリードリヒ・フェルディナントに引き継がれました。フリードリヒ・フェルディナントは、先代エルンスト・ギュンターの姉カロリーネ・マティルデの夫でした。アルベルトは生涯独身でしたが、ヴァレリー・マリー（1900年 - 1953年）という庶出の娘がいました。彼の死は、ヨーロッパの歴史における一つの時代の終わりを告げる出来事となりました。

アルベルト・フォン・シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン＝ゾンダーブルク＝アウグステンブルクの生涯は、ヨーロッパ王室の複雑な血縁関係、第一次世界大戦という歴史的転換期、そして名門貴族の没落という、様々な要素が絡み合ったものでした。彼の人生は、激動の時代を生き抜いた一人の人間の姿を鮮やかに描き出しています。

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