アル・ダウニング

アル・ダウニングは、1941年生まれ、アメリカ・ニュージャージー州出身の元プロ野球選手です。1960年代から1970年代にかけて、主に投手として活躍しました。左投げ右打ちの選手です。

特に、ハンク・アーロンがベーブ・ルースの記録を塗り替える715号本塁打を放った際の投手として、その名が広く知られています。しかし、彼のキャリアはそれだけではありません。若き日にはニューヨーク・ヤンキースで才能を開花させ、その後、故障や移籍を経験しながらも、カムバック賞を受賞するなど、波乱に満ちた道のりを歩みました。

ヤンキースでのデビューと成功

1961年、ダウニングはニューヨーク・ヤンキースと契約し、同年7月にメジャーデビューを果たしました。初登板では打ち込まれて敗戦投手となりましたが、3年目の1963年には初勝利を挙げ、そこから5年連続で2桁勝利を達成する活躍を見せました。1963年と1964年にはワールドシリーズにも出場し、チームの勝利に貢献しました。1967年には、オールスターゲームにも初出場。同年には、メジャーリーグ史上13人目となる3者連続3球三振を達成するなど、その実力を示しました。

故障と挫折、そして復活

しかし、1968年初めに速球の投げ過ぎから肩を故障し、一時はマイナーリーグに降格。その後はかつての勢いのある速球は影を潜め、変化球を主体としたスタイルに転向しました。オークランド・アスレチックスやミルウォーキー・ブルワーズを渡り歩くも、思うような結果を出せないシーズンが続きました。しかし、1971年にロサンゼルス・ドジャースへ移籍すると、20勝9敗、防御率2.68という素晴らしい成績で復活を遂げ、カムバック賞を受賞しました。サイ・ヤング賞の投票でも3位に入る活躍でした。

715号本塁打を打たれる

1974年4月8日、ダウニングはアトランタ・ブレーブス戦に先発登板します。その試合で、ハンク・アーロンがベーブ・ルースの記録を更新する715号本塁打を放ちました。この試合で、ダウニングはアーロンに715号本塁打を打たれてしまった投手として、その名を歴史に刻むことになります。

引退とその後

1974年にはワールドシリーズにも出場したものの、その後は成績が低迷。1977年にドジャースから解雇され、現役を引退しました。通算成績は、405試合に登板し、123勝107敗、1639奪三振、防御率3.22でした。

2021年にハンク・アーロンが亡くなった際には、ダウニングは深い悲しみを表明しました。また、715号本塁打を打たれた際に観客席から拍手を送ったこと、その翌日にアーロン本人から「あなたは素晴らしいキャリアの持ち主だから、715号本塁打を打たれたことを恥じる必要はない」と励まされたエピソードを語りました。

記録とタイトル

オールスターゲーム出場：1回 (1967年)
最多奪三振：1回 (1964年)
* カムバック賞：1回 (1971年)

アル・ダウニングは、そのキャリアを通じて、様々な困難に直面しながらも、不屈の精神でそれを乗り越えてきました。ハンク・アーロンの偉大な記録達成の瞬間に関わった投手として、そして、カムバック賞を受賞するほどの復活劇を演じた投手として、野球史にその名を残しています。

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