アル・リフラ

アル・リフラ（Al Rihla）

アル・リフラは、2022 FIFAワールドカップおよびJリーグの公式試合球として、サッカーの世界で注目を浴びています。このボールは、アディダスが製造したもので、1970年の大会以降、公式ボールの製作を手掛けてきた歴史があります。名前の「アル・リフラ」はアラビア語で「旅」を意味し、著名な旅行家イブン・バットゥータの旅行記にちなんで名付けられました。

コンセプトとデザイン

このボールには、性別や年齢、国籍に関係なく人々が一つになれるというコンセプトが込められています。「世界をつなぐ旅が、ここから始まる」というテーマの下、アル・リフラはクォーターノートとしても開催地や決勝戦までの道のりを象徴しています。

特筆すべきは、アル・リフラが歴代の公式ボールの中でも非常に高い飛行速度を持っていることです。これにより、現代サッカーのスピーディな試合展開にも対応できるように設計されています。色や外観は、カタールの国旗や文化、建築物からインスパイアを受けており、国のアイデンティティや情熱を表現するために、さまざまなデザインが施されています。表面には「PASSION（情熱）」「FAIRPLAY（フェアプレイ）」「COLLECTIVE（集団的）」「TEAMWORK（チームワーク）」「RESPECT（尊敬）」「RESPONSIBILITY（責任）」の6つの言葉が6つの異なる言語で表現されており、これが多様性と尊重の重要性を伝えています。

加えて、ボール表面は真珠を連想させるパール調の光沢があり、色とりどりのデザインはサッカーの活力と魅力を象徴しています。これにより、試合のエネルギーを感じさせるよう設計されています。

技術革新

一際話題となったのは、試合前にボールが「充電」されるという点です。アル・リフラの内部には慣性計測装置（IMU）センサーが搭載されており、これが1秒間に500回のボールデータをビデオオペレーションルームに送信します。この機能により、選手がボールをキックしたポイントを正確に抽出することが可能になります。また、スタジアム内には12台の高性能カメラが配置されており、選手の位置を正確に把握することで、AIによるオフサイド判定やゴールラインテクノロジーの精度を向上させています。

しかし、ワールドカップ期間中には、カナダ対モロッコの試合でボールがパンクするトラブルが発生し、その原因はいまだ判明していません。このハプニングは、選手たちや観客にとって驚きの出来事となりました。

準決勝以降の変更

準決勝からは「アル・ヒルム（Al Hilm）」という新しいボールが使用されます。これはアラビア語で「夢」を意味し、デザインは赤色と金色が基調とされています。これにより、ワールドカップの後半戦に向けて期待を高めるような新たなエネルギーと情熱をもたらしています。

このように、アル・リフラは単なるサッカーボール以上の存在であり、サッカーの精神や文化、技術革新を体現する重要な象徴となっています。

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