アル＝ファラゾーン

黄金王アル＝ファラゾーンの物語

人物像

アル＝ファラゾーン（Ar-Pharazôn the Golden）は、J.R.R.トールキンの『シルマリルの物語』に登場する人物であり、ヌーメノールの第25代、最後の王です。彼は君主である以前から中つ国へ度々遠征し、富を得ていたことで知られています。父親は第24代の王タル＝パランティアの弟であるギミルハード、妻はタル＝パランティアの娘ミーリエルです。

アル＝ファラゾーンは、父の強欲さに輪をかけたような性格で、数々の中つ国遠征を経て得た冒険の成果を惜しみなく分配し、民衆からの支持を獲得しました。しかしながら、彼の傲慢さは時折、彼自身を窮地に追い込むことになります。サウロンの権威を恐れ、かつ憎んでいた彼は、サウロンを討つための軍を派遣しましたが、この危機的な状況下でもサウロンに騙されることがありました。

サウロンは彼のもとに連れてこられた後、甘言を用いて彼を誘惑し、アル＝ファラゾーンは次第にその影響下に置かれてしまいました。彼はヴァラールを忌み嫌っていたものの、彼らへの恐れから忖度し、一時的に躊躇しました。特に白の木ニムロスの伐採や不死の国アマンへの上陸に際しては、彼の内心の葛藤が見て取れます。若き日のアル＝ファラゾーンは、エレンディルの父であるアマンディルを信頼し、彼を顧問として迎えていましたが、サウロンの影響が彼の運命を大きく変えてしまったのです。

経歴

アル＝ファラゾーンは先代の王タル＝パランティアの死後、ミーリエルという正当な王位継承者を却下し、自らが王位を簒奪しました。彼は従姉妹のミーリエルとの結婚を通じて権力を強化しましたが、この結婚はヌーメノールの法律に反していました。彼の権力は極めて大きく、誰も反対することはできませんでした。

アル＝ファラゾーンはモルドールを攻撃し、サウロンを捕虜として自国に連れ帰ることに成功しましたが、サウロンは彼を堕落させ、暗黒神メルコールを崇拝する方向に導きました。この結果、王は老いや死を恐れるようになり、サウロンはヴァリノールへの攻撃を思い立たせるように仕向けます。

第二紀3319年、アル＝ファラゾーンは大艦隊の建造を開始し、ついに『ヴァラールの禁』を破って不死の地へ上陸しました。この行動が彼の悲劇的な運命を招くことになります。神の意志により、アル＝ファラゾーンとその軍勢は山に生き埋めにされ、彼の艦隊とヌーメノールは海中に沈められました。

彼は世界の終わりに至るまで、忘却の洞窟に閉じ込められ、決して死ぬことのない運命を背負うこととなったのです。アル＝ファラゾーンの物語は、強欲と傲慢が引き起こした悲劇を示すものとして、後の世に語り継がれていくことでしょう。

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