アレクサンドル・バリャチンスキー

アレクサンドル・イワノヴィチ・バリャチンスキー（1815年5月2日 - 1879年2月26日）は、ロシア帝国の軍人であり、最終的には元帥の位にまで上り詰めた人物です。公爵の家柄であり、カフカース副王も務めました。

バリャチンスキーは、外交官イヴァン・イヴァノヴィチ・バリャチンスキー公爵の長男として生まれました。母方の祖母エカテリーナを通じてデンマーク王室との血縁関係を持っていました。17歳で近衛士官学校に入学し、後の皇帝アレクサンドル2世付きの親衛隊に配属され、近衛少尉の階級を得ました。

1835年、最初のカフカース赴任で、その勇敢な働きぶりから黄金の剣を授与されました。その後、一時ペテルブルクに戻り、アレクサンドル付きの武官を務めました。1845年には再びカフカースに派遣され、シャミールの拠点への攻撃で聖ゲオルギー勲章を受章するなど、目覚ましい武勲を挙げました。1846年には、イワン・パスケヴィチ元帥によるクラクフ蜂起の鎮圧を支援しています。

1848年から1856年まで、バリャチンスキーはカフカースにおける主要な軍事作戦の指揮を執りました。1850年のメツェニンスクでの勝利や、チェチェンのシャミールに対する作戦はその代表例です。彼の精力的ながらも組織的な戦術は、山岳戦において新たな時代を切り開いたと言えるでしょう。1853年には総務局長、そして参謀総長に任命されました。

1856年1月1日、バリャチンスキーはカフカース軍総司令官となり、同時にカフカース副王に就任しました。統治者としての彼は、その高い評判に違わず、着任から3年で東カフカースの大部分を平定し、長らく逃亡していたシャミールを捕らえることに成功しました。さらに、ラバ川とベラヤ川の間に住む西カフカースの多くの部族を征服しました。これらの功績により、バリャチンスキーはロシア帝国における地位を不動のものとしました。

1860年代初頭、バリャチンスキーの健康状態は悪化し、1862年12月6日に職を辞しました。48年間の軍務の後、彼は晩年をジュネーヴで過ごし、同地で生涯を閉じました。バリャチンスキーは、その軍事的才能と統治能力によって、ロシア帝国における重要な人物として歴史に名を残しています。

彼が受章した主な勲章には、聖アンドレイ・ペルヴォズヴァンヌイ勲章、聖アレクサンドル・ネフスキー勲章、白鷲勲章、聖ウラジーミル勲章（二等、三等、四等）、聖アンナ勲章（一等、二等、三等）、聖ゲオルギー勲章（三等、四等）があります。

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