アレクサンドル・ベズボロドコ

アレクサンドル・アンドレエーヴィチ・ベズボロドコ公の生涯と功績

アレクサンドル・アンドレエーヴィチ・ベズボロドコ公は、1747年3月25日（グレゴリオ暦）にウクライナのフルーヒウで生まれました。彼は、ウクライナのコサック家系に生まれ、父親は書記官、母親は裁判官ミハイル・ザビラの娘という背景があります。彼の教育は家庭で受けた後、キエフ・モヒーラ・アカデミーに進学し、さらなる知識を培いました。その後、小ロシアの知事ピョートル・アレクサンドロヴィチ・ルミャンツェフ伯爵の秘書として働き、1768年に始まった露土戦争にも従軍しました。

1774年、露土戦争の終結を受け、ベズボロドコはルミャンツェフから女帝エカチェリーナ2世に推薦されました。これにより、彼はpetition-secretaryの職を得て、女帝と直接のつながりを持つようになります。このポジションを活かし、彼はフランス語やその他のヨーロッパ言語を習得し、彼自身の外交政策の確立へと繋げました。

エカチェリーナ2世の治世

エカチェリーナ2世の時代、ベズボロドコは非常に重要な役割を果たしました。彼は公式にはイワン・オステルマン伯爵の部下であったものの、実際の外交業務は彼が主導し、外国駐在大使への指示や条約締結に関与しました。彼はエカチェリーナの孫をギリシャ皇帝にする夢を支持し、この女帝から多くの領地や年金を受け取りました。

1786年には元老院議員となり、1787年の南ロシア巡幸には実質的な外務大臣として同行しました。その後、再び露土戦争とロシア・スウェーデン戦争が勃発しますが、ベズボロドコは両戦争の講和に尽力しました。1790年にはスウェーデン王との間にヴァララ条約を締結し、その後ヤシー条約をも結ぶという大きな功績を残しました。これにより、彼はエカチェリーナ2世から聖アンドレイ勲章と5万ルーブルの報酬を与えられました。

しかし彼の成功は永遠ではなく、ヤシー条約締結後、彼は女帝の新しい愛人プラトン・ズボフによってその地位を奪われることになりました。この事件を受け、ベズボロドコは私的に自らの立場について反省を行い、1793年に改めて栄典を授けられることになります。

パーヴェル1世の治世

エカチェリーナ2世が亡くなると、パーヴェル1世が即位しました。彼はベズボロドコにかつてエカチェリーナが持っていた私的文書を調べるよう命じます。その後、彼の功績によりベズボロドコはクニャージに叙され、宰相に任じられました。しかし、パーヴェル1世はベズボロドコの外交政策を次第に支持しなくなり、最終的に彼は辞任を申し出ることになります。パーヴェル1世はこれを受け入れず、療養のための海外渡航を許可する予定でしたが、ベズボロドコは脳卒中で急逝しました。

評価と評判

彼の業績については、ブリタニカ百科事典第11版で「典型的なエカチェリーナ時代の人物」と評され、その一方で「腐敗、放蕩、非良心的、利己主義」と厳しい批評も受けました。ただし、多くの芸術作品を収集していたことから「作家のマエケナス」とも呼ばれています。また、彼の知識や愛国心については高く評価されています。

アレクサンドル・アンドレエーヴィチ・ベズボロドコの生涯は、政治的な舞台裏の複雑さを浮き彫りにし、彼の名はロシアの歴史にその影響を刻みました。

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