アレクサンドル・ラズトキン

アレクサンドル・イワノビッチ・ラズトキン（Александр Иванович Лазуткин）は、1957年10月30日生まれのロシア人宇宙飛行士です。彼は結婚しており、2人の子供がいます。

ラズトキンは1992年3月3日に宇宙飛行士に選ばれました。そして、ソユーズTM-25のフライトエンジニアとして、初めて宇宙へと旅立ちました。このミッションで彼は、宇宙ステーション「ミール」での長期滞在を経験することになります。

しかし、彼の宇宙飛行は平穏なものではありませんでした。ミール滞在中、補給船との衝突事故が発生したのです。この事故について、ラズトキンは後に次のように語っています。「ステーションから空気が漏れているのは明白でした。ステーションの雑音のために音は聞こえなかったが、気圧の減少は耳で感じられました」。

事故発生時、乗組員は直ちに安全な場所へ避難しました。ラズトキン自身は、損傷した部分のハッチを閉めるために向かいました。彼はすぐに空気がこれ以上漏れることはないと分かりましたが、その時起こったことによって彼の手に震えが来たといいます。彼はあまりの恐怖で、なぜ手が震えているのか認識できなかったと述懐しています。

さらに悪いことに、事故後すぐにステーションは地球の夜の部分に入り、電力供給が途絶えてしまいました。ラズトキンにとって、その無音と暗闇の空間は、それまで経験したことのないものだったそうです。地球の表面が仄暗く輝いているのを見下ろすと、彼は自分の死すべき運命と悲惨な状況を深く考えました。しかし、彼は「そんなに悪い状況じゃない、自分はまだ生きている」と考え、生還への希望を捨てなかったのです。

宇宙での過酷な体験を乗り越えたラズトキンは、現在、若者に宇宙科学の魅力を伝える活動に力を入れています。彼は自身の経験を語り、次世代の宇宙開発を担う人材育成に貢献しています。宇宙飛行士としての経験と、事故という危機的状況を乗り越えた精神力は、多くの人々に勇気を与え続けています。

ラズトキンのストーリーは、宇宙探査のロマンと同時に、そこに潜む危険、そして人間の強さを教えてくれます。彼の活動は、これからも多くの人々に影響を与え続けるでしょう。

もう一度検索