アレクセイ (モスクワ大公)

アレクセイ・ミハイロヴィチの治世

アレクセイ・ミハイロヴィチ（1629年 - 1676年）は、ロシアのツァーリとして1645年から1676年にかけて治世を行った。父はミハイル・ロマノフ、母はエヴドキヤ・ストレシニョヴァで、アレクセイはモスクワに生まれ育った。彼が即位したのは、父の死後のことだった。アレクセイは16歳という若さでツァーリとしての一歩を踏み出し、ボヤールであるボリス・モロゾフの指導を受けながら西洋文化に触れ、学んでいった。

ボリス・モロゾフと治世の初期

モロゾフは、アレクセイの幼少期において重要な助言者であり、平和外交を推進し、ポーランドとオスマン帝国に対して効果的な政策を展開していった。1648年、塩一揆が発生すると、民衆の反乱が勃発し、モロゾフは追放され、アレクセイは親政を開始することとなる。この出来事は、彼にとって権力を集中させる大きな転機となった。

中央集権化と官僚制度の確立

アレクセイの治世では、官僚制の強化が進み、貴族会議や全国会議の権限が次第に弱まっていった。新興の官僚層によって、多くの官庁が設立され、中央集権が強化された。この結果、農奴制の法的な整備が進捗し、1649年の全国会議で制定された会議法典により、特に農民の移動の自由は厳しく制限された。

内乱と反乱の勃発

アレクセイの治世には、頻発する内乱と反乱が目立った。ドン・コサックのリーダーであるステンカ・ラージンが指導する反乱（1670年代）は、国の統制を試練にかけ、アレクセイは鉄のような強制的な対応を余儀なくされた。この時期、政府による課税政策や経済改革が民衆の不満を招き、横行した暴動はアレクセイの状態を不安定にした。

教会改革と古儀式派の分裂

1653年にはロシア正教会の改革が始まり、ニーコン総主教の下、教会の慣習が変更されたが、反発が強く、古儀式派の分離が顕著となった。1666年のモスクワ教会会議ではニーコンの追放が決定され、教会内での分裂はロシア社会に新たな亀裂を生じさせた。

外交と戦争の影響

アレクセイはポーランドやスウェーデンとの複数の戦争に従事し、特に1654年のウクライナ侵攻は彼の治世における重要な出来事であった。この戦争は幾度の休戦を経て、最終的には1676年の和平条約に結びついたが、困難な外交環境においてロシアは地位を強化する契機ともなった。これにより、ロシアは東欧地域での影響力を拡大し、その後の歴史の流れを変える要因となった。

アレクセイの後継者と政争

アレクセイは、1648年に結婚したマリヤ・ミロスラフスカヤとの間に子女をもうけたが、男子の後継者として健全な状態にある者が少なかった。1669年に彼女を亡くした後、再婚したナタリヤ・ナルイシキナとの間にも子女が生まれ、特に彼の死後は派閥争いが激化した。

最後の時期と遺産

1676年にアレクセイはその生涯を閉じる。彼は短気でありながら心優しい面を持つ君主であり、西欧の文化に対する強い関心を有していた。これにより、アレクセイの治世はロシアの文化と政治に大きな影響を与え、その後の歴史にも重要な足跡を残した。

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