アレクセイ・アルブーゾフ

アレクセイ・ニコラエヴィチ・アルブーゾフは、20世紀ソビエト連邦を代表する劇作家の一人です。1908年5月26日（旧暦5月13日）にモスクワで生まれ、1986年4月20日に同地で没しました。彼の作品は、ソ連社会における人間関係や感情の機微を深く描き出し、多くの観客を魅了しました。

幼少期をサンクトペテルブルクで過ごし、11歳で独立。14歳頃にはマリインスキー劇場で働き始め、その後も様々な劇団を渡り歩きながら俳優や演出家としての経験を積みました。この経験は、彼の劇作家としての活動に大きな影響を与えたと考えられます。

1930年に処女作となる戯曲『クラス』を発表。その後、1939年には、愛情につまずきながらも力強く生きる女性を描いた『ターニャ』を発表し、劇作家としての地位を確立しました。この作品は、アルブーゾフの最初の妻であり女優であったタチヤーナ・エフテーエワ（愛称ターニャ）に捧げられたものでした。二人は後に離婚しましたが、タチヤーナはその後、作家のコンスタンチン・パウストフスキーの妻となっています。

1959年には、代表作の一つである『イルクーツク物語』を発表。この作品は、モスクワのヴァフタンゴフ劇場で初演され、高い評価を得ました。アルブーゾフの作品は、登場人物の心理描写が巧みで、観客は彼らの喜びや悲しみ、葛藤に共感せずにはいられません。また、社会の変化や時代の流れを背景に、人間の普遍的なテーマを描いている点も、多くの人々に支持される理由でしょう。

1980年には、その功績が認められソビエト連邦国家賞を受賞。その後も精力的に創作活動を続け、数々の作品を発表しました。彼の作品は、日本を含む世界各地で翻訳、上演され、多くの観客に感動を与え続けています。1986年に亡くなった後、モスクワのクンツェヴォ墓地に埋葬されました。

主な作品としては以下のようなものがあります。

1930年:『クラス』
1935年:『Шестеро любимых』
1935年:『Дальняя дорога』
1939年:『ターニャ』
1940年:『夜明けの町』
1952年:『ヨーロッパ年代記』
1954年:『さすらいの年月』
1959年:『イルクーツク物語』
1960年:『Двенадцатый час』
1961年:『失われた子』(邦題『父と子』)
1963年:『Нас где-то ждут』
1965年:『И вновь встреча с юностью...』
1965年:『私のかわいそうなマラート』
1967年:『夜の告白』
1968年:『Счастливые дни несчастливого человека』
1970年:『古いアルバート街の物語』
1971年:『Выбор』
1972年:『В этом милом старом доме』
1972年:『Моё загляденье』
1974年:『Вечерний свет』
1975年:『古風なコメディ』
1976年:『Ожидание』
1978年:『Жестокие игры』
1981年:『想い出』
1983年:『Победительница』
1984年:『Виноватые』

これらの作品を通して、アルブーゾフはソビエト社会の現実と、そこで生きる人々の姿を鮮やかに描き出しました。彼の作品は、時代を超えて読み継がれ、観客の心に深く残るものとして、その価値を失うことはないでしょう。

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