アレック・ダグラス＝ヒューム

アレクサンダー・フレデリック・ダグラス＝ヒューム

アレクサンダー・フレデリック・ダグラス＝ヒューム（1903年7月2日 - 1995年10月9日）は、イギリスの政治家であり、貴族です。彼は1963年から1964年にかけて第66代首相を務め、外務大臣を2期に渡って歴任しました。戦後の保守党政権下で重要な役割を果たし、政治家としてのキャリアを確立しました。

生い立ち

彼はロンドンのメイフェアにスコットランド貴族ヒューム伯爵家の推定相続人として誕生しました。名門の出身であり、イートン・カレッジからオックスフォード大学クライスト・チャーチへ進学した後、高貴な家系を背景に政治の世界に飛び込むことになります。

政界入りから首相就任まで

1931年から1945年にかけてラナーク選挙区から保守党の庶民院議員に選出され、その後ネヴィル・チェンバレン首相の秘書官も務めました。第二次世界大戦中は一時的に政治活動から離れましたが、戦後の保守党の復興に寄与し、1951年には父の死去を受けてヒューム伯爵の爵位を継承しました。また、1951年から1955年の間にスコットランド担当省次官として、さらには外務大臣として重要な職務に就いています。

1963年にはマクミラン首相の辞意を受け、女王エリザベス2世からの指名を受けて首相に就任しました。彼の選任は意外とされましたが、実行力を試される局面が訪れました。

首相としての挑戦

ヒュームは首相として、経済問題に苦しむ保守党の運営に取り組むことになりました。彼は庶民院に戻るために貴族法に基づき一代につき爵位を返上し、補欠選挙に当選して庶民院議員となりました。しかし、彼の政権は不安定なものでした。次期選挙が迫る中、保守党内部の反発や経済問題が影を落としました。労働党のハロルド・ウィルソンは有力な対立者として台頭し、保守党の支持率は低下し続けました。

1964年の総選挙では、保守党は思っていたより良い結果が出ましたが、依然として敗北し、ヒュームの政権は短期間で終わることになります。この結果は、彼の首相としての評価に影を落とすことになります。

首相退任後の経歴

退任後、ヒュームは党首選挙の制度を改革し、1965年にはエドワード・ヒースに党首職を譲りました。その後、ヒース内閣で外務・英連邦大臣として再び政界での活躍が期待されました。彼はソ連との関係に警戒心を持ちつつ、西ヨーロッパとの関係を重視し、欧州共同体（EC）への加盟を推進しました。1973年にはその加盟を実現させ、イギリスの欧州統合に寄与しました。

1974年には一代貴族「ヘイゼルのヒューム男爵」に叙せられ、再び貴族院に登場しました。彼は1995年に亡くなるまでスコットランドの政治に影響を与え続け、王室との良好な関係を築いていました。

人物と評価

ダグラス＝ヒュームは、温厚で誠実な人柄で知られ、その家系の由緒も深く評価される一方で、貴族的なイメージが彼の政治家としての立場に影響を与えることもありました。彼はマスメディアに重きを置かず、テレビの時代には通用しづらい人物でもありましたが、王室との関係や地味な風貌は一部の人々に愛された要因でもありました。

著書としては『The way the wind blows』や『Letters to a grandson』などがあり、政治活動を振り返る貴重な記録となっています。彼の貴族としての貢献、政界での業績は、今なお多くの人に影響を与え続けています。

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