アレホ・フェルナンデス

アレホ・フェルナンデス（Alejo Fernández、1475年頃 - 1545年頃）は、15世紀末から16世紀にかけてスペインで活躍した画家です。その生涯は、コルドバとセビリアという二つの都市を軸に展開しました。

生涯

記録によると、フェルナンデスはドイツ生まれの画家とされていますが、近年ではコルドバ出身とする説が有力です。初期の活動はコルドバに集中しており、1508年にセビリアに移るまでの間に、「柱に縛られたキリスト」（コルドバ美術館所蔵）や「受胎告知」（セビリア美術館所蔵）などの作品を制作しました。これらの作品からは、当時のフランドル絵画の影響が色濃く見て取れます。

セビリアへ移住後は、その画風に変化が見られます。ピントゥリッキオやラファエロといったイタリアのマニエリスムの画家たちの影響を受け、より洗練された表現へと移行しました。セビリア大聖堂の装飾画を手がけるなど、地元の芸術活動に貢献しました。彼の最も有名な作品は、セビリアのアルカサル宮殿に所蔵されている祭壇画「航海士の聖母(Virgulino de la Navigantoj)」です。この作品は1531年から1536年の間に描かれたとされ、スペイン国王カルロス1世、クリストファー・コロンブス、アメリゴ・ヴェスプッチという歴史上の重要人物が描かれていることで知られています。

アレホ・フェルナンデスは、1545年頃にセビリアでその生涯を終えました。

作品の特徴

初期の作品にはフランドル絵画の影響が強く見られ、写実的で細密な描写が特徴です。セビリアに移住してからは、イタリアのマニエリスムの影響を受け、より人物の表情や動きが豊かに表現されるようになりました。特に、「航海士の聖母」では、聖母マリアの優美さ、そしてコロンブスやヴェスプッチといった航海者の力強さが、緻密な筆致で描かれています。

フェルナンデスの作品は、当時のスペインにおける絵画様式の変遷を示す重要な資料であり、宗教画から肖像画まで、幅広いジャンルを手がけた彼の才能を今に伝えています。彼の作品は、スペインのルネサンス美術を語る上で欠かせない存在と言えるでしょう。

主な作品

「柱に縛られたキリスト」（コルドバ美術館所蔵）
「受胎告知」（セビリア美術館所蔵）
「航海士の聖母(Virgulino de la Navigantoj)」（アルカサル宮殿所蔵）

参考文献

l'Enciclopedia, La Biblioteca di Repubblica, 2003 (paragrafo su Alejo Fernández a cura di Luigi Mallè)
Andalusia, Guida Michelin, 2008 (pag. 67)

外部リンク

Alejo Fernández, pintor de la Sevilla renacentista

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