アレン・セイ

アレン・セイ：日系アメリカ人作家の足跡

アレン・セイは、1937年に横浜で生まれた日系アメリカ人の作家・イラストレーターです。本名はジェームズ・アレン・コウイチ・モリワキ・セイイで、現在はオレゴン州ポートランドに暮らしています。彼の作品には多くの場合、日本人や日系アメリカ人に焦点を当てた内容が含まれ、自身の体験も反映されています。

幼少期の経歴

セイは、横浜市にてカリフォルニア州のオークランド出身の母と、イギリスの夫婦に育てられた韓国人の父の間に生まれました。両親の離婚に伴い、彼は父親に引き取られましたが、その後、12歳で青山学院に通うために東京都に移り住むことになります。彼は母方の祖母と生活を始めますが、祖母と別々の生活を選ぶことになりました。その後、一人で漫画家の野呂新平の弟子となり、自身の創作活動に目覚めていくのです。

アメリカへの移住

16歳の時、再婚した父親からアメリカに共に渡るように誘われ、彼はカリフォルニア州で新たな生活を始めます。しかし、軍学校での生活は辛いもので、わずか一年で退学となってしまいます。一般高校に編入した後も、美術クラスでの学びを続け、絵に対する情熱を育てていきます。卒業後には日本へ戻るも、国の変化に戸惑い、再びアメリカへ帰国します。最初は看板描きとして働き始めますが、満足できずにカリフォルニア大学バークレー校で建築学を学びます。

軍とアートの世界

1962年、アメリカ陸軍に入隊し、ドイツに駐屯することになります。軍の中では、彼の写真がアメリカ陸軍新聞に掲載されたことがきっかけで、除隊後はカメラマンとしての道を選びます。商業カメラマンとして働く中、人脈が広がり、アートの世界に足を踏み入れることができるようになりました。1972年には、初めての絵本が出版され、その後も数々の作品を生み出します。特に、彼が1994年に受賞したコールデコット賞が、彼の名声を確立する重要な一歩でした。

交流と創作

同年、児童文学者ロイス・ローリーと偶然の出会いがあり、意気投合します。この出会いにより、彼らはお互いの自作に署名をし合い、それが新たな友情のきっかけとなります。彼らが育った場所や時期が重なっていたこともあり、特に日本への思いを語る場面が印象深いエピソードとして残されています。

主な著作と影響

セイの代表作には、『おじいさんの旅』や『紙しばい屋さん』などがあります。『おじいさんの旅』は、1994年にコールデコット賞を受賞した作品であり、世代を超えた感動を与えてきました。彼の作品は、日系アメリカ人の視点から文化や家族の絆を描き出すことで、多くの読者に愛されています。

アレン・セイは、日本とアメリカの文化の狭間で、自身の経験をもとに独自の物語を紡ぎ続けています。彼の作品は、子どもたちだけでなく大人にも響く普遍的なテーマを扱っており、世代を超えて語り継がれるでしょう。

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