コールデコット賞

コールデコット賞とは

コールデコット賞（Caldecott Medal）は、アメリカ図書館協会（ALA）の下部組織である児童図書館協会（ALSC）が主催する、アメリカで最も権威のある児童書の賞の一つです。

この賞は、前年にアメリカ合衆国で出版された最も優れた子ども向け絵本に贈られます。19世紀のイギリスのイラストレーター、ランドルフ・コールデコットの功績を記念して名付けられました。文章を対象とするニューベリー賞と並び、アメリカの児童書業界で非常に重要な賞とされています。

メダルのデザイン

コールデコット賞のメダルは、1937年にRene Paul Chambellanによってデザインされました。メダルの表面には、ランドルフ・コールデコットが手掛けた『ジョン・ギルピンのゆかいなお話』の一場面が描かれています。そこには、暴走する馬に必死にしがみつくギルピンの姿がユーモラスに表現されています。この物語は、ウィリアム・クーパーが1782年に書いた詩に由来しています。

メダルの裏面には、コールデコットが描いた童謡『6ペンスの唄をうたおう』のイラストが用いられています。パイの中に詰め込まれた24羽のクロウタドリの様子が描かれており、こちらも印象的なデザインとなっています。

また、コールデコット賞には、メダルに次ぐ栄誉として「コールデコット・オナー」と呼ばれる表彰があります。これは、次点の候補作品に贈られるもので、毎年複数の作品が選ばれます。

授賞の基準

コールデコット賞の授賞基準は以下の通りです。

前年にアメリカ合衆国で出版された英語の書籍であること
イラストレーションがオリジナル作品であること
イラストレーターがアメリカ合衆国の市民または居住者であること

評価のポイントとしては、芸術的な技法、ストーリーの絵画的な解釈、ストーリーとイラストの様式の適合性、プロット・テーマ・キャラクター・雰囲気や情報などの絵を通じた描写、そして子どもの読者を想定した表現などが挙げられます。本が子どもの理解力、能力、鑑賞力に敬意を払っていること、本がそれ自身で完結しており、楽しむために他のメディアに依存していないことも重要な要素です。

選考過程

コールデコット賞の選考委員会は15名で構成されています。そのうち8名はALSCの全会員の投票によって選出され、残りの7名はALSCの会長が指名します。選考委員会には、多くの出版社から書籍が送付されます。2009年には、各委員が700冊以上の作品を受け取ったという記録があります。選考を効率的に進めるため、議長は毎月各委員に有力な候補作品を推薦するように促し、秋には各委員が正式に7冊の本をノミネートします。

近年の受賞作品

2025年: Rebecca Lee Kunz, Chooch Helped
2024年: Vashti Harrison, Big
2023年: ダグ・サラティ, Hot Dog（『ホットドッグ』）
2022年: Jason Chin, Watercress
2021年: Michaela Goade, We Are Water Protectors
2020年: Kadir Nelson, The Undefeated

その他の情報

コールデコット賞は、児童文学の世界において非常に重要な賞であり、受賞作品は世界中で高く評価されています。この賞を通じて、優れた絵本が広く認知され、子どもたちの豊かな心を育む一助となっています。

関連項目
ニューベリー賞
八島太郎

外部リンク
Caldecott Medal - 公式ページ
* アメリカ図書館協会 - 1938年から現在までのコールデコット賞受賞者

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