アワダチソウグンバイ

アワダチソウグンバイについて

アワダチソウグンバイ（学名：Corythucha marmorata）は、昆虫綱カメムシ目カメムシ亜目に含まれる小さな生き物で、グンバイムシ科に属しています。この昆虫は、本来は北アメリカ大陸に分布していましたが、人間の活動などを通じて世界各地に広がり、現在では日本を含む様々な地域で確認されている外来種です。日本国内でアワダチソウグンバイの存在が初めて公的に記録されたのは、1999年のこととされています。その際の発見地は兵庫県西宮市であり、これが日本における最初の確認例となりました。その後、本種は徐々に生息域を拡大させています。

特徴的な形態

アワダチソウグンバイの成虫は、非常に小型で、体長はおよそ3〜4ミリメートルほどです。その外見はグンバイムシ科に共通する特徴を持っており、全体的に扁平で半透明な体をしています。最も特徴的なのは、前翅（ぜんし）、前胸背板（ぜんきょうはいばん）、そして小楯板（しょうじゅんばん）などが、まるで精巧なレースのように網目状の構造になっている点です。この網目模様は、部分的に褐色に着色されており、それが独特の斑紋として現れます。さらに、頭部の前縁や前胸部の側面および背面、そして前翅の縁は、板のように大きく平たく張り出しています。これらの張り出した部分には、細かなトゲが多数生えていることも形態的な特徴の一つです。この板状の張り出しと網目模様が、昔の武将が持っていた「軍配」に似ていることから、「グンバイムシ」というグループ名が付けられました。

生態と食性

アワダチソウグンバイは、春から秋にかけて活動が活発になります。具体的には、およそ4月から11月頃にかけての長い期間にわたって観察することができます。この期間中に、彼らは繁殖し、世代を重ねます。主な餌としているのは、同じく北米原産の外来植物であるセイタカアワダチソウです。アワダチソウグンバイは、その口針を植物の組織に刺し込み、汁液を吸って生活しています。しかし、食草はセイタカアワダチソウだけに限りません。アレチノギクなどの他のキク科植物からも吸汁することが確認されています。さらに、農業分野においては、キク、ヒマワリ、ナス、サツマイモといった、私たちの生活に身近な作物を加害することが報告されています。これらの農作物がアワダチソウグンバイに吸汁されると、葉に白い斑点が生じたり、生育が悪くなったりといった被害が発生する可能性があります。

分布

アワダチソウグンバイの本来の生息地は、北アメリカ大陸です。しかし、国際的な物流などによって拡散し、現在ではヨーロッパやアジアなど、様々な地域で見られるようになっています。日本国内においては、1999年に兵庫県で初めて確認されて以降、徐々に分布域を広げています。現在のところ、本州、四国、そして九州といった日本の主要な島々において、その生息が確認されています。外来種であるアワダチソウグンバイが日本の生態系や農業に与える影響については、引き続き注意深く観察されていく必要があります。

もう一度検索