アンクル船長の館

アンクル船長の館の歴史と特徴

アンクル船長の館（あんくるせんちょうのやかた）は、広島県尾道市浦崎町の境ガ浜に位置していた私立博物館で、特に著名な版画家である柳原良平（やなぎはら よしへい）の作品を中心に多彩な展示が行われていました。本館は2009年9月30日をもって閉館しましたが、その独自の魅力は多くの人々に愛されていました。

開館の背景

アンクル船長の館は、ツネイシホールディングスの子会社、ボァ・ドゥ・アーみろくの里が運営しています。博物館自体は、常石造船の常石工場の隣にある小高い丘の上に建っていました。元々は、北欧から招かれた船の設計士たちが宿泊するための施設でした。

1986年、常石造船はみろくの里に版画工房を設立し、その活動において柳原良平にリトグラフ制作を依頼しました。これがきっかけで柳原はみろくの里に通い始めたのですが、1994年に工房が火災に見舞われ、作品が焼失してしまいます。この出来事を受け、宿泊施設を改装し、1995年9月22日に「アンクル船長の館」として開館するに至りました。

展示内容

館内では、柳原のスケッチやリトグラフ、絵画の他にも、海外旅行中に収集した船の模型や装飾品、玩具、魚のコレクションなどが展示されていました。また、2階には柳原の自宅のアトリエがそのまま再現されており、訪れる人々に彼の日常を感じさせる空間が提供されていました。

さらに、トリスバーという特別なコーナーもあり、ここではトリスのハイボールが1杯無料で提供されていました。展示されていたのは、1960年代のトリスウイスキーのテレビCMや新聞広告、原画などであり、当時の文化を楽しむことができたのです。

閉館とその後

2009年の閉館は、ツネイシホールディングスの事情によるもので、柳原良平自身もそのことを非常に残念に思っていました。それにもかかわらず、展示された一部の品々は、大阪市住之江区にある「なにわの海の時空館」へと移設されました。これにより、アンクル船長の館での体験や学びを引き続き享受できる機会が残されています。

まとめ

アンクル船長の館は、ただの博物館ではなく、柳原良平の芸術と船に関する豊かな世界観を形にした文化的な空間でありました。この博物館が閉館したことは、多くの愛好者にとって大きな損失となりましたが、いまでもその記憶は色あせることなく、現存する資料や展示が新たな世代に受け継がれています。

もう一度検索