アンゴラ独立戦争

アンゴラ独立戦争：植民地支配からの解放と続く内戦

アンゴラ独立戦争(1961年～1974年)は、ポルトガルによる長年の植民地支配に対するアンゴラ人民の抵抗運動として勃発しました。単なる独立戦争という枠を超え、民族運動の対立、国際的な勢力争い、そして独立後の悲惨な内戦へと発展した複雑な歴史を持っています。

植民地支配と民族運動の台頭

15世紀後半からポルトガルはアンゴラに進出し、奴隷貿易や資源搾取を推し進めました。綿花栽培の強制や不平等な待遇は、アンゴラ人民の不満を募らせました。19世紀末から20世紀初頭にかけて、アンゴラでは民族意識の高まりとともに、独立を目指す民族運動が次第に勢力を伸ばしていきます。アンゴラ解放人民運動（MPLA）、アンゴラ民族解放戦線（FNLA）、アンゴラ全面独立民族同盟（UNITA）という3つの主要な民族運動が台頭し、それぞれ独自のイデオロギーと戦略の下、ポルトガル政府への抵抗を強めていきました。

戦争の勃発と激化

1961年、綿花農園での労働争議をきっかけに、アンゴラ独立戦争が勃発しました。MPLA、FNLA、UNITAはそれぞれゲリラ戦術を用い、ポルトガル軍と激しい戦闘を繰り広げます。ポルトガル軍は、アンゴラの人口が少ない地方で対反乱作戦を展開しましたが、双方とも残虐行為を繰り返しました。戦争はアンゴラの各地で長期化し、多くの犠牲者を出しました。

カーネーション革命とアルヴォー合意

1974年4月、ポルトガルでカーネーション革命が勃発し、エスタド・ノヴォ体制が崩壊しました。新政権は直ちにアフリカ植民地での軍事行動を停止し、アンゴラの独立を承認しました。同年、ポルトガル政府と3つの民族運動はアルヴォー合意に調印し、1975年11月11日のアンゴラの独立と暫定政府の樹立を決定しました。しかし、この合意は独立戦争を終結させたものの、民族運動間の対立を解消することはできませんでした。

国際的な関与

アンゴラ独立戦争は、冷戦構造の中で国際的な勢力争いの舞台ともなりました。ソ連はMPLAを、アメリカはUNITAとFNLAを支援し、それぞれに武器や資金援助を行いました。キューバはMPLAを支援し、南アフリカはUNITAとFNLAを支援しました。これらの国際的な関与は、アンゴラ独立後の内戦へとつながる重要な要因となりました。

独立後の内戦

1975年11月11日、アンゴラは独立を迎えましたが、直ちにMPLA、FNLA、UNITAの間で内戦が勃発しました。MPLAが勝利し、アンゴラ人民共和国を樹立しましたが、UNITAによる内戦は長期間に渡り続きました。この内戦は、アンゴラの経済・社会発展を阻害し、国民に甚大な被害をもたらしました。

アンゴラ独立戦争の遺産

アンゴラ独立戦争は、アンゴラ人民の長い苦難の歴史を象徴する出来事です。戦争は、多くの犠牲者と悲惨な結果をもたらしました。しかし同時に、アンゴラ人民が自らの手で植民地支配からの解放を勝ち取るという、大きな意義も持っています。独立後の内戦は、アンゴラの発展に大きな影を落としましたが、今日のアンゴラの現状を理解する上で、この戦争の歴史を学ぶことは不可欠です。アンゴラ独立戦争は、植民地支配からの解放と、その後の内戦という二重の困難を経験した歴史であり、その経験は現在もアンゴラ社会に深く刻み込まれています。この戦争は、アンゴラのみならず、アフリカの脱植民地化過程における重要な事例として、歴史的にも重要な意味を持つと言えます。

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