カーネーション革命

カーネーション革命: 自由と平和の象徴

カーネーション革命（Revolução dos Cravos）は、1974年4月25日にポルトガルで発生した軍事クーデターで、共和国の独裁体制をほぼ無血で終わらせた歴史的な事件です。革命においてはカーネーションの花が重要なシンボルとなったことから、この名がつきました。この出来事は、ヨーロッパ最長の独裁政権「エスタド・ノヴォ」はじめとする政権の変革を迎えることにつながりました。

背景

1933年にアントニオ・サラザールが樹立した独裁体制は、40年以上にわたりポルトガルの政治を支配しました。その間、国家は植民地を維持するために多大な戦費を投入し、特に1961年から始まったアンゴラ、モザンビーク、ギニアビサウにおける植民地戦争は国民に大きな負担を強いました。国費の40%が戦費に充てられた結果、経済は悪化し、国民は生活苦からフランスや西ドイツに移住するようになりました。こうした状況は、ポルトガルを西ヨーロッパで最も貧しい国の一つにしてしまいました。

1968年、サラザールが事故で政権から退いた後、後継者であるマルセロ・カエターノは初めは民主化を目指す姿勢を示しましたが、すぐに独裁的な手法に戻りました。これに危機感を抱いた国軍の若手将校たちは「大尉運動」を結成し、1974年には国軍運動（MFA）へと再編成し、体制の変革を目指しました。

決起

1974年4月25日早朝、カルヴァーリョ大尉に率いられたMFAは、リスボンで決起しました。要所を占拠した彼らは、逃げ込んだカエターノに降伏を迫ります。流血のない状態の中で、カエターノは権力をスピノラに移譲しました。このことを受け、リスボンの街角はカーネーションで彩られ、民衆は兵士たちと交流し、希望の象徴とされる花を手に持つようになりました。現在、4月25日はポルトガルの「自由の日」として祝日とされています。

クーデターの流れ

1974年5月15日、臨時政府が成立し、スピノラが臨時大統領に就任しました。しかし、実際の革命を指導したMFAとスピノラとの間には、早くも深い溝が生じました。9月30日には、彼が大統領を辞任し、新たにフランシスコ・ダ・コスタ・ゴメスが大統領に就任します。彼は中立的な政権運営を目指しました。

1975年には、スピノラが権力を奪回しようと失敗し亡命するなど、政権を巡る争いは激化しました。MFAの左派と共産党の勢力が台頭し、主要な産業の国有化や農地改革が行われました。しかし、1975年の議会選挙では、社会党が第一党となり、その後社会党と共産党の対立が深まりました。最終的に、社会党が勝利し、1976年には総選挙と大統領直接選挙が行われ、アントニオ・エアネスが新大統領に就任することで革命は終息を迎えました。

まとめ

カーネーション革命は、ポルトガルの政治史において重要な転換点とされています。従来の独裁体制を無血で打破し、民主主義への道を切り開くことができたこの革命は、多くの国々に影響を与え、また人々の間に自由と民主主義の大切さを再認識させました。

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