アンダー・ザ・ドーム (テレビドラマ)

スティーヴン・キングによる同名の小説を原作としたアメリカ合衆国のテレビドラマシリーズ『アンダー・ザ・ドーム』は、ブライアン・K・ヴォーンが企画を手がけ、2013年から2015年にかけてCBSで放送されました。ヴォーンやキング自身に加え、スティーヴン・スピルバーグなど著名なプロデューサー陣が製作総指揮に名を連ねています。日本ではDlifeなどを通じて放送され、広く知られることとなりました。

物語は、メイン州の片田舎にあるチェスターズ・ミルというありふれた町を舞台に始まります。財政難にあえぐこの町では、町政委員のビッグ・ジムが警察署長や牧師と結託し、密かに麻薬を製造・販売するという裏の顔を持っていました。元軍人のバービーは、債務者とのトラブルから誤って相手を殺害し、遺体を森に隠そうとしていた最中、町は突如、謎の透明なドームによって外界から完全に遮断されます。この予期せぬ事態は町にパニックを引き起こし、多くの犠牲者を出します。

ドーム下の混乱と人間性

ドームの出現により、通信手段はほぼ断絶され、町は孤立無援の状態に陥ります。この混乱の中、元新聞記者のジュリアは町の情報伝達に奔走し、バービーは持ち前のサバイバル能力と正義感から、保安官代理のリンダと共に治安維持に協力します。一方、ビッグ・ジムは町の危機を自身の権力強化の機会と捉え、強引な手段で支配を確立しようとします。

ビッグ・ジムの息子ジュニアは、幼馴染みのアンジーへの歪んだ愛情から彼女を自宅の地下シェルターに監禁します。アンジーの弟ジョーは、姉の失踪に心を痛める中で、ドームに閉じ込められた不良少女ノリーと出会い、互いに惹かれ合います。ドームの外では軍による事態打開の試みが行われますが、ドームの強固な性質の前には無力でした。ドームという極限状況は、町の人々の隠された本性や秘密を次第に露呈させていきます。

シーズンごとの展開

シーズン1: ドーム発生直後の混乱、町に隠された麻薬密造の秘密、ビッグ・ジムの権力掌握、ジュニアによるアンジー監禁、バービーとジュリアの関係性の変化、ドームの謎を巡るジョーとノリーの奇妙な体験などが描かれます。
シーズン2: ドームの磁化現象や新たな物理的脅威が発生し、バービーは窮地に陥ります。高校教師のレベッカが科学的な視点からドームの謎に迫り、ビッグ・ジムと協力して食糧危機への対策を講じようとします。記憶喪失の少女メラニーや、死亡したと思われていたジュニアの母ポーリーンが登場し、ドーム発生の秘密に深く関わっていることが示唆されます。アンジーが何者かに殺害される事件も発生し、町に衝撃が走ります。
* シーズン3: メラニーが開けた穴を通じて脱出を試みるバービーたち。一度はドームが消滅したかと思われ、人々は町を再建し日常生活を取り戻そうとします。しかし、ドームの真の目的や地球外生命体との関連性が明らかになるにつれて、新たな脅威と異変が町を襲います。主要人物たちはドームの謎を完全に解き明かし、再び平和を取り戻すために最後の戦いに挑みます。

ドームの性質

ドームは透明でガラスのような外見を持ち、上空6000メートルを超える高さまで達し、地下も覆う完全な球状と推測されています。極めて頑丈で、強力なミサイル攻撃にも耐えうる強度を誇ります。特定の電磁波を帯びており、一般的な無線通信や音波はほとんど透過しませんが、強力な軍用無線などはわずかに漏れることがあります。また、近くの電子機器に影響を与え、電池などを爆発させる性質も確認されています。ドームに触れた人間は軽い感電のようなショックを受けます。興味深いことに、軍の実験を見物していたジョーの観察から、ドームは水分を透過することが判明しています。

主要登場人物

物語の中心となる人物たちは多岐にわたります。元米軍特殊部隊員で町に偶然居合わせたデイル・“バービー”・バーバラ、地元新聞記者で正義感の強いジュリア・シャムウェイ、野心家で町の支配を企む町政委員ジェームズ・“ビッグ・ジム”・レニー、精神的に不安定でアンジーを監禁するビッグ・ジムの息子ジェームズ・“ジュニア”・レニーなどが物語を牽引します。その他にも、ドームの秘密に関わる高校生のジョー・マカリスターとノリー・カルバート、職務に忠実な保安官代理リンダ・エスキベル、ドームの謎を科学的に解明しようとするレベッカ、ジュニアの母親でドームの予言を残していたポーリーン・レニーなど、様々な背景を持つキャラクターたちがドーム下の過酷な状況でそれぞれの運命をたどります。

製作背景と評価

本作の企画は2009年に発表されましたが、具体的に進行したのはヴォーンが参加してからです。当初はケーブル局での展開が検討されていましたが、最終的に地上波のCBSでシリーズ化が決定しました。パイロット版を経ずにいきなりシリーズ製作が発注されるという異例の形でスタートし、高い製作費の一部はAmazonとの配信契約によって賄われました。

初回放送の視聴率は非常に高く、CBSの夏のドラマシリーズとしては記録的な成功を収めました。批評家の評価も当初は好意的で、テレビ批評家協会賞の「最もエキサイティングな新作シリーズ」にも選ばれました。しかし、物語が進むにつれて一部で批判的な意見も増えていきました。原作者のスティーヴン・キングは、テレビドラマ版が原作から多くの部分で変更されていることを認めつつも、それらの変更点について「必然性があり、心から賛成している」と肯定的なコメントを発表しました。

原作小説と比較すると、登場人物の設定や物語の筋書きに大きな改変が加えられていますが、ドームの出現、町の隔離、限られた資源、人間の内面が暴かれていく様子といった原作の根幹にあるテーマは引き継がれています。ドラマ版は、原作の世界観をベースに、独自の展開で3シーズンにわたる物語を紡ぎました。

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