アンチアリン

アンチアリンは、アンチアリス・トキシカリア（別名イポー、ウパス）という常緑樹の乳状の樹液から得られる天然の毒です。この樹木は東南アジアから南アジアにかけて広く分布しており、その樹液は古くから矢毒として用いられてきました。アンチアリンは、α-アンチアリン（CAS登録番号[23605-05-2]）やβ-アンチアリン（同[639-13-4]）をはじめとする、複数のステロール配糖体の混合物です。

アンチアリス・トキシカリアの特徴

アンチアリス・トキシカリアは、クワ科に属する常緑の高木で、高さは25〜40メートルにも達します。樹皮は灰褐色で、樹液にはアンチアリンを含む毒性があります。この樹木は、特に湿潤な熱帯地域に生育し、森林や川沿いなどで見られます。

アンチアリンの毒性

アンチアリンは、非常に強力な毒であり、摂取や傷口からの侵入により、様々な症状を引き起こします。主な症状としては、心臓の機能不全、呼吸困難、けいれんなどが挙げられます。重症の場合には、死に至ることもあります。そのため、アンチアリンは非常に危険な毒物として扱われています。

アンチアリンの利用

アンチアリンは、主に矢毒として用いられてきました。狩猟や戦争の際に、矢の先端に塗布することで、動物や敵を殺傷するのに使われました。現在では、その毒性のために、直接的な利用はほとんどありません。研究目的で用いられることはありますが、取り扱いには細心の注意が必要です。

アンチアリス・トキシカリアの木材利用

アンチアリス・トキシカリアの原木は、伐採直後は悪臭を放つことで知られていますが、乾燥させると臭いが消えるという特性を持っています。このため、木材として利用されることがあり、造作材、梱包材、合板の芯材などに用いられています。ただし、毒性のある樹液が含まれているため、取り扱いには注意が必要です。

まとめ

アンチアリンは、アンチアリス・トキシカリアの樹液に含まれる強力な自然毒であり、かつては矢毒として利用されていました。現在では、その毒性のために直接的な利用は減っていますが、その特性や由来は学術的な興味の対象となっています。また、アンチアリス・トキシカリアの木材は、乾燥させれば臭いが消えることから、様々な用途で利用されています。

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