CAS登録番号

CAS登録番号について

CAS登録番号（キャスとうろくばんごう）は、特定の化学物質に付与される一意の識別番号です。この番号は、化学データベースで広く使用されており、特にアメリカ化学会が発行するChemical Abstracts誌で重要な役割を果たしています。CAS登録番号は、CAS（Chemical Abstracts Service）によって管理され、化学物質の検索や識別を容易にすることを目的としています。

概要

日本では一般社団法人化学情報協会がこのCAS番号の取得や関連業務を担当しています。CASレジストリには、有機化合物から無機化合物、金属、合金、鉱物、錯体化合物、高分子化合物、さらにはタンパク質や遺伝子の配列に至るまで、様々な化学物質が登録されています。2022年2月時点での登録数は、無機・有機化合物で約1億9300万、タンパク質や遺伝子の配列で約6900万件に達しています。

Chemical Abstracts誌は1907年から化学物質に関する情報を収集しており、世界中の数万に上る学術文献や特許から要約を行っています。このことから、CAS登録番号は化学物質の識別におけるデファクトスタンダードと考えられ、多くの申請や研究でその提示が求められることが一般的です。

CAS登録番号の構成と計算方法

CAS登録番号は通常、3つの部分にハイフンで区切られます。左側には最大7桁の数字、中央には2桁、右側には1桁のチェックディジットが配置されます。番号は基本的に登録された順に付与され、化学的なSignificanceを持たないため、同一化学物質でも異なる構造を持つ異性体に対して異なるCAS登録番号が割り当てられます。例えば、D-グルコースとL-グルコースはそれぞれ異なる番号（50-99-7と921-60-8）を持っています。

チェックディジットの計算は次のようになります。CAS登録番号がN8N7N6N5N4N3-N2N1-Rの場合、Rは登録番号の桁ごとの値を用いて計算されます。具体的には、

```
R = (8 × N8 + 7 × N7 + 6 × N6 + 5 × N5 + 4 × N4 + 3 × N3 + 2 × N2 + N1) mod 10
```

例えば、水のCAS登録番号7732-18-5の場合、チェックディジットは5です。

商用利用と関連の問題

CAS番号は商業的な背景を持ち、特に5000個以上の番号を社内などで利用する場合、商用として扱われます。この場合、CASの代理店からの許可と費用が発生します。また、学術的な研究を行う際でも、定期的に許可を得る必要があります。

さらに、CAS番号については他の化学物質データベースとの関係でもトラブルが報告されています。例えば、PubChemやChEMBLEといった公的なデータベースは、CAS番号を除外しているため、化学物質の関連情報を入手することが困難になっています。このような状況は、CAS番号の重複割り当てや商品の番号割り当てが原因となっています。

CAS登録番号は化学物質のデータベース間での連携や情報取得の際に大きな課題となる要因です。しかし、その一方で化学物質の管理と識別においては、今後も重要な役割を果たし続けるでしょう。

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