アンツ・ピープ

アンツ・ピープ：エストニアの初代国老

アンツ・ピープ（Ants Piip、1884年2月28日 - 1942年10月1日）は、エストニアの教育者、弁護士、外交官、そして政治家として多岐にわたる分野で活躍した人物です。彼はエストニアの初代国老を務め、その政治的影響力は非常に大きいものでした。

生い立ちと教育

ピープはヴィリャンディ県出身で、1903年から1905年までクルディーガの教育大学で学びました。卒業後は、教区での事務をこなしつつ、アルークスネのニコライ皇帝ギリシャ正教学校で教員として教鞭をとりました。1906年までの間はクレサーレの教区学校でも教師として働き、その後クレサーレ水兵学校で職を得ました。教育者としてのキャリアを歩む傍ら、彼は更なる学問を志し、1908年から1913年までサンクトペテルブルク大学の法学部で法律を学びました。1912年にはベルリン大学で追加コースを受講し、1916年に卒業。その後、1919年から1940年までタルトゥ大学の国際法学教授として教鞭をとりました。彼の教育に対する情熱と学術的な知識は、後の政治活動にも大きな影響を与えました。

政治家としての活動

ピープはエストニア州議会の議員であり、ヤーン・ポスカ率いるエストニア代表団の一員としてパリ講和会議に参加しました。彼はタルトゥ条約の締結にも深く関わっており、1919年から1920年まで外務大臣補佐としても活動しました。1920年には、在英国エストニア大使、国老、そして戦役大臣を兼任するという重要な役割を担いました。しかし、エストニア大使はその年のうちに辞任しています。彼は外務大臣を5回務め、1923年から1925年にはエストニアの米国大使に就任しました。彼の外交手腕は、エストニアの国際的な地位を高める上で不可欠なものでした。

悲劇的な最期

1941年6月30日、ピープは内務人民委員部（NKVD）によって逮捕され、グラグ（強制収容所）に送られました。そして、約3ヶ月後の1942年10月1日に、収容所内で亡くなりました。彼の死は、エストニアの独立と自由を求める人々にとって大きな悲劇でした。

アンツ・ピープは、教育者、法律家、外交官、政治家として、エストニアの歴史に名を刻んだ人物です。彼の功績は、今日のエストニアの礎となっています。

関連項目

エストニア
国老 (エストニア)
コンスタンティン・パッツ
ヤーン・ポスカ

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