アンティ・アールネ

アンティ・アールネ：民話研究の先駆者

アンティ・アマトゥス・アールネ（Antti Amatus Aarne、1867年12月5日 - 1925年2月5日）は、フィンランドの著名な民俗学者であり、特に民話研究における歴史的・地理的比較考証法を確立したことで知られています。彼の業績は、民俗学における「フィンランド学派」の形成に大きく貢献しました。

生涯

アールネは1867年にポリ市で生まれ、1989年からヘルシンキ大学で学びました。1893年に哲学修士号を取得後、1893年から1898年にかけてロシアに滞在し、モスクワ大学でソコロフに師事しました。経済的な問題から学位論文を完成させることはできませんでしたが、1898年に帰国後、フィンランド語の教師として国民学校や高等学校で教鞭を執りながら研究を続けました。1902年にはコッコラの州立大学の教師に就任しています。

1907年、アールネは学位論文『比較童話研究』を完成させ、文学博士号を取得しました。その後、1911年からはヘルシンキ大学でも教鞭を執り、後進の育成にも尽力しました。

研究内容と業績

アールネの研究は、民話の分類と分析に焦点を当てたものでした。彼の業績は、カールレ・クローンが叙事詩『カレヴァラ』研究に移行したのち、クローンの民話研究を引き継ぎ、発展させたことに端を発します。アールネは、民話研究に歴史的・地理的比較考証法を導入し、体系的な分析を可能にしました。

昔話の型目録

アールネの最も重要な業績の一つに、1910年に発表された『昔話の型目録』（Verzeichnis der Märchentypen）があります。これは、クローンが中心となって設立したFolklore Fellowsの機関誌″FF Communication″に掲載されたもので、ヨーロッパ各地の昔話800以上を収集し、類型ごとに分類したものです。アールネは、これらの昔話を動物の話、本格的な話、笑い話の3つの主要なタイプに分類しました。

アールネ・トンプソンのタイプ・インデックス

アールネの『昔話の型目録』は、後の1927年にアメリカの民俗学者スティス・トンプソンによって『昔話の型』（The types of folktale）として増補・改訂されました。トンプソンは、アールネの3分類をさらに詳細な5分類に再編し、より使いやすい体系へと発展させました。この改訂版は、「アールネ・トンプソンのタイプ・インデックス」として、世界中の民俗学者や研究者に広く利用されています。このインデックスは、民話の国際的な比較研究において、不可欠なツールとなっています。

アールネの業績は、民話研究における基礎を築き、その後の研究に大きな影響を与えました。彼の分類法は、現代の民俗学においても重要な位置を占めており、彼の名は、民話研究の歴史において永く記憶されることでしょう。

外部リンク

ドイツ語版ウィキソースに本記事に関連した原文があります：Antti Aarne

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