アントニオ・デ・オルレアンス・イ・ボルボーン

アントニオ・デ・オルレアンス・イ・ボルボン：スペイン王子、ガリエラ公爵、そして愛に生きた男

アントニオ・デ・オルレアンス・イ・ボルボン（1866年2月23日 - 1930年12月24日）は、スペイン王子（Infante de España）であり、フランス王ルイ・フィリップ1世の孫にあたります。また、イタリア王国貴族の第4代ガリエラ公爵でもありました。アントワーヌ・ドルレアンというフランス語名でも知られています。

生涯

アントニオは、オルレアン家のモンパンシエ公アントワーヌと、スペイン王女ルイサ・フェルナンダの間に生まれました。父はフランス国王の息子、母はスペイン国王の娘という、王族としての血筋を色濃く受け継いでいます。

1868年、スペイン名誉革命により一家は国外へ追放され、アントニオは少年時代を外国で過ごします。父モンパンシエ公は、革命を利用してスペイン王位を簒奪しようと企んでいましたが、失敗に終わりました。

1874年、スペイン・ブルボン家の王政復古が実現し、アルフォンソ12世が即位。モンパンシエ公爵一家も帰国を許され、セビーリャのサン・テルモ宮殿に戻ります。1878年には、アルフォンソ12世とアントニオの姉メルセデスの結婚により、スペイン王家とモンパンシエ公爵家の関係は修復されました。

1886年、アントニオは国王アルフォンソ12世の妹エウラリア王女と結婚。これにより、アントニオはマドリードの宮廷で王族としての公的役割を果たす機会を得ます。1892年、夫妻はコロンブスのアメリカ大陸発見400周年記念式典に参列しますが、アントニオの不品行な振る舞いがエウラリア王女を深く傷つけ、二人は別居に至ります。1901年には法的な別居が成立しました。

1895年、イタリア王ウンベルト1世はアントニオをガリエラ公爵位の正当な相続人として認めました。この爵位は、元々アントニオの父モンパンシエ公に譲渡されたものでした。

1900年、アントニオはロンドンのホテルで、アメリカ人富豪の未亡人マリー＝ルイーズ・ル・マナシュと出会い、恋に落ちます。しかし、アントニオは彼女に忠実ではなく、他の女性との逢瀬も重ねていました。別れを切り出した際には、マリー＝ルイーズに激しく打ち据えられたという逸話も残っています。

アントニオは贅沢なライフスタイルを送り、モンパンシエ公爵家の財産を浪費しました。晩年は経済的に困窮し、イタリアの領地を売却せざるを得なくなりました。

1930年、アントニオはパリで亡くなります。遺骸はスペイン王室の一員として、エル・エスコリアル修道院に埋葬されました。

子女

アントニオは、妻エウラリア王女との間に以下の3人の子供を儲けました。

アルフォンソ（1886–1975）
ルイス・フェルナンド（1888–1945）
* ロベルタ（1890）

アントニオ・デ・オルレアンス・イ・ボルボンは、スペイン王室の一員として、またガリエラ公爵として、波瀾万丈な生涯を送りました。王位簒奪の野望、結婚、愛人とのスキャンダル、そして晩年の困窮。彼の人生は、まさにドラマに満ち溢れていたと言えるでしょう。

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