ウンベルト1世

ウンベルト1世：イタリア統一後の波乱の生涯

ウンベルト1世 (1844年3月14日-1900年7月29日) は、イタリア王国の第二代国王として1878年から1900年まで在位しました。彼はヴィットーリオ・エマヌエーレ2世とオーストリア＝ハプスブルク家のマリーア・アデライデとの間に生まれた長男であり、イタリア統一戦争にも従軍した経験を持っていました。幼少期は著名な法学者や政治家らに教育を受け、軍人としてのキャリアを経て、王位継承への道を歩みます。

王位継承までの道のり

ウンベルト1世の結婚は、イタリア統一という歴史的転換期において大きな課題でした。統一後、サヴォイア家は膨大な爵位と名誉を有する一方、他のヨーロッパ諸国からの承認や、適格な花嫁探しに苦労しました。カトリック圏との外交関係の複雑さも、結婚相手選びを困難なものにしました。オーストリアの皇女との婚約が破談になった後、最終的に従妹であるマルゲリータと結婚しました。

イタリア国王としての治世

1878年の父王の死後、ウンベルト1世は国王に即位します。「ウンベルト4世」ではなく「ウンベルト1世」を名乗ることで、イタリア王国における自らの地位を明確に示しました。彼の治世は、国内の政治的・社会的課題への対応と、国際関係の構築という二つの大きな柱で特徴づけられます。

国内的には、旧両シチリア王国領からの抵抗や、共和主義・社会主義勢力の台頭といった課題に直面しました。これらの勢力は、王政に反対し、社会改革や政治体制の転換を求めていました。ウンベルト1世は、これらの勢力と対立を深め、弾圧も行うなど強硬な姿勢を見せました。

一方、国際関係では、父王の外交政策を継承し、周辺国との関係改善に努めました。特にオーストリアとの和解を進め、三国同盟（イタリア・ドイツ・オーストリア）を締結しました。しかし、この同盟は領土問題（未回収のイタリア）の未解決を背景に国民からの反発も招き、後のイタリアの第一次世界大戦参戦の中立姿勢に影響を与えたと言われています。また、植民地政策にも積極的に取り組み、エリトリアや中国への進出を試みました。

暗殺

ウンベルト1世の治世は、暗殺未遂事件や、共和主義者との激しい対立によって影を落とされました。1878年の即位パレードでの襲撃事件や、1897年の暗殺未遂事件など、彼の命を狙う事件は何度も発生しました。

1900年7月29日、モンツァでの行幸中に、イタリア系アメリカ人の無政府主義者ガエタノ・ブレーシによって銃撃され、暗殺されました。この事件は、イタリア国内の政治的不安定さと、国王に対する反王政勢力の強さを改めて浮き彫りにしました。ブレーシは「虐殺への報復」と叫んだと伝えられており、これはおそらく、ミラノでの反政府デモ鎮圧の際に軍隊が多数の市民を殺害した事件を指していると考えられます。ウンベルト1世の死は、イタリア社会に大きな衝撃を与え、彼の治世に幕を閉じました。その後、彼の遺体はローマのパンテオンに埋葬されました。

まとめ

ウンベルト1世は、イタリア統一後の困難な時代を生き抜き、国王としての職務を全うしようとしました。しかし、彼の強硬な姿勢や、未解決の領土問題、そして国内における政治的対立は、彼の治世を常に不安定なものにしました。最終的には暗殺という悲劇的な最期を遂げることとなりますが、彼の在位はイタリア王国の歴史において重要な転換期であったと言えるでしょう。彼の生涯は、イタリア統一後の社会不安や、強大な勢力との複雑な外交関係など、現代社会に通じる問題を多く含んでいます。

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