アントニー・アシュリー＝クーパー (第3代シャフツベリ伯爵)

第3代シャフツベリ伯爵アントニー・アシュリー＝クーパー

第3代シャフツベリ伯爵アントニー・アシュリー＝クーパー（1671年2月26日 - 1713年2月4日）は、イギリスの哲学者であり政治家でした。彼は、第2代シャフツベリ伯爵アントニー・アシュリー＝クーパーの息子であり、初代シャフツベリ伯爵アントニー・アシュリー＝クーパーの孫にあたります。

生涯

幼少期は、祖父の友人であった哲学者ジョン・ロックの監督下で教育を受けました。1683年から1686年までウィンチェスター・カレッジで学び、その後1686年から1689年までヨーロッパ大陸を旅行し、見聞を広めました。

政治家としては、1695年から1698年まで庶民院議員として活動し、その間、オランダの人文主義者たちと親交を深めました。1699年11月2日に伯爵位を継承し、ウィリアム3世の治世中は官界に身を置いていましたが、生来の病弱のため政治活動に耐えられず、アン女王の即位とともに政界を引退し、著述活動に専念しました。

彼の代表作である『人間、作法、意見、時代の諸相』（Characteristicks of Men, Manners, Opinions, Times）は、彼の思想が凝縮された著作として知られています。1713年2月4日、ナポリで病のため亡くなりました。

『人間、作法、意見、時代の諸相』

『人間、作法、意見、時代の諸相』は、シャフツベリの様々な著作を集成した三巻本の著作集です。1711年に初版が出版され、その後、シャフツベリ自身が生涯をかけて改訂作業を行いました。改訂を経た第二版は、彼の死後の1714年に出版されました。

第一巻収録著作

『熱狂についての手紙』（A Letter concerning Enthusiasm）
『センスス・コムニス――機知とユーモアの自由についての随筆』（Sensus Communis: An Essay on the Freedom of Wit and Humour）

第二巻収録著作

『美徳あるいは美点についての研究』（An Inquiry concerning Virtue, or Merit）
『モラリスト――哲学の集い』（Moralists, A Philosophical Rhapsody）

第三巻収録著作

『随想集』（Miscellaneous Reflections）

第二版以降に併録された小品

「ヘラクレスの決断を描いた歴史画あるいはタブラチュアについての覚え書き」（A Notion of the Historical Draught or Tablature of the Judgment of Hercules）
「デザインについての手紙」（A Letter concerning Design）

その他の著作

『利益目当ての議会の危うさ』（The Danger of Mercenary Parliaments, 1698）
『ウィチコート博士の説教選集』（Select Sermons of Dr Whichcot, 1698）
『国家のパラドクス』（Paradoxes of State, 1702）

シャフツベリ伯爵の思想は、道徳感覚の重要性、公共精神、美と道徳の関連性など、多岐にわたります。彼の著作は、後の啓蒙思想家たちに大きな影響を与え、現代社会においても、その思想はなお重要な意味を持っています。

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