アントワーヌ (ヴァンドーム公)

アントワーヌ・ド・ブルボンの生涯

アントワーヌ・ド・ブルボン（1518年4月22日 - 1562年11月17日）は、16世紀のフランス、特にヴァロワ朝末期の重要な貴族の一人で、ブルボン家の当主としてその名を知られています。彼はヴァンドーム公（duc de Vendôme）であり、またナバラ女王ジャンヌ・ダルブレとの結婚を通じてナバラ王（アントニオ1世）としても君臨しました。彼の息子、後にフランス王となるアンリ4世は、彼の家系をさらに強化する重要な人物です。

生い立ちと家族

アントワーヌはピカルディ地方のラ・フェールに生まれました。彼の父はヴァンドーム公のシャルル・ド・ブルボン、母はアランソン家の相続人であるフランソワーズ・ダランソンでした。彼には、後にフランス王位を巡って争うことになるルーアン大司教シャルルとコンデ公家の祖ルイ1世という弟がいました。

18歳で父の死去により公位を継承したアントワーヌは、その身体能力と戦術的な才能が評価され、多くの戦闘で指揮を執りました。しかし、彼は同時に騙されやすい性格や窃盗癖も持ち合わせていたと言われています。

結婚とナバラ王位

彼の人生において重要な出来事は、1548年にプロテスタントのナバラ王エンリケ2世の娘ジャンヌと結婚したことです。この結婚により、彼はナバラ王国の王位を手に入れることになります。彼とジャンヌの間には、1551年に誕生した長男アンリがいましたが、彼は生後2年間で亡くなりました。しかし、その4ヶ月後には後にフランス王になるアンリが誕生しました。

1555年には、ジャンヌの父エンリケ2世が死去し、ジャンヌはナバラ女王として即位しました。この時、アントワーヌもナバラ王としての権利を得ました。

政治闘争と宗教対立

1560年には、フランス王女エリザベートがスペインに向かう際に、アントワーヌは国境まで随行しました。彼は、カトリーヌ・ド・メディシスによって王国の総司令官に任命されます。アントワーヌはこの時期にカトリックに改宗し、プロテスタントである妃ジャンヌと対立を深めることになります。彼はさらに、息子のアンリにもカトリックへの改宗を強要するようになりました。

最期

1562年の秋、アントワーヌはルーアン包囲戦に参加しましたが、戦闘中に左肩に流れ弾を受けてしまい、その怪我がもとで同年11月17日に亡くなります。彼の死後、ヴァンドーム公位は息子のアンリが継承しました。

子女たち

アントワーヌ・ド・ブルボンは、いくつかの子女をもうけました。長男アンリ（1551年 - 1553年）はその短い生涯の後、サン＝ジョルジュ参事会教会に埋葬されました。次男アンリ4世（1553年 - 1610年）は1589年から1610年までフランス王として君臨しました。さらに、彼にはルイ（1555年 - 1557年）、マドレーヌ（1556年）、カトリーヌ（1559年 - 1604年）などの子どももおり、特にカトリーヌはロレーヌ公アンリ2世と結婚しました。また、アントワーヌは愛人ルイーズ・ド・ラ・ベロディエールとの間に庶子をもうけています。

アントワーヌ・ド・ブルボンは、彼の家族とその後のフランスの歴史において重要な役割を果たしました。

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