アンドラーシ・ジュラ

アンドラーシ・ジュラ伯爵

アンドラーシ・ジュラ伯爵（ハンガリー語: Andrássy Gyula、1823年3月3日 - 1890年2月18日）は、19世紀ハンガリーの貴族であり、政治家としての名声を築いた人物です。彼はオーストリア＝ハンガリー二重帝国のハンガリー王国において初代の首相を務め、その政治的な手腕で国の自治権の獲得に尽力しました。ドイツ名はユリウス・アンドラーシ（Julius (Gyula) Graf Andrássy von Csík-Szent-Király und Kraszna-Horka）として知られています。

経歴

出自

アンドラーシは1823年に、当時オーストリア領であったハンガリー王国のコショで生まれました。彼の父はハンガリー貴族のアンドラーシ・カーロイであり、貴族としての環境で育った彼は、政治や権力に対する理解を早くから深めていきました。

ハンガリー革命からアウスグライヒへ

1848年から1849年にかけてのハンガリー革命では、アンドラーシはコシュートを支持し、積極的に参加しました。しかし、革命は失敗に終わり、彼は一時的にパリやロンドンに亡命を余儀なくされました。1857年に帰国した後は、ハプスブルク王家との和解を進め、ハンガリーの自治権を獲得するために自由主義者と共に努力しました。その結果として、1867年にはハンガリーに広範な自治が与えられ、彼は初代の首相兼国防相に就任しました。

アンドラーシ外交

政権を担いだ後、アンドラーシは国内外において影響力を持つ存在となりました。彼はオーストリアとハンガリーの共通の外交政策を推進し、特にドイツとの提携を深めることでロシア帝国に対抗しようとしました。しかしながら、帝国成立後はドイツの問題よりもバルカンでの動きが重視されるようになり、彼の外交政策は異論を招くことになりました。

アンドラーシは1872年に独露三帝同盟を締結し、同年ロシアとの部分的な和解へと向かいました。彼の外交の成果としては、1878年のベルリン会議でボスニア＝ヘルツェゴヴィナの行政権を獲得したことが挙げられます。しかし、この獲得がハンガリー国内でのスラヴ系住民の比率を高めることに繋がり、さらにはオーストリアの議会との摩擦を引き起こす結果ともなったため、アンドラーシの政策には批判も高まりました。

1880年代には、彼の外交は長期的にはオーストリア＝ハンガリーの立場を脅かし、第一次世界大戦の主要因となる要素を生み出してしまったとされます。アンドラーシは1882年に外相を辞任し、政界を引退しました。その後、オーストリア＝ハンガリーは新たな外交路線を模索することになりました。

死去

旅立ちの時を迎えたアンドラーシは1890年にクロアチアのヴォロスカで亡くなりました。彼の息子も後にオーストリア外相を務めるなど、家族の中での政治的影響力を引き継ぐことになります。彼の生涯は、ハンガリーにおける民主的な自治権の獲得を目指す貴族たちの闘志を象徴するものとして、歴史に名を刻むこととなりました。

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