アンドリュー・フィッシャー

アンドリュー・フィッシャーの生涯と業績

アンドリュー・フィッシャー（Andrew Fisher）は1862年8月29日にスコットランドのエアシャーで生まれました。彼はオーストラリア政治史において重要な人物であり、特にオーストラリア労働党の初代首相として知られています。彼の政治的な活動とその影響力は、多くの改革を後押しし、オーストラリアの社会に変革をもたらしました。

フィッシャーは、若い頃から炭鉱で働いていた家庭に育ち、教育を受けることなく、わずか17歳でエアシャー炭鉱夫組合の地元支部の書記に就任しました。1885年にオーストラリアに移住し、クイーンズランド植民地ギンピーに定住しました。彼の移住後も労働組合運動に積極的に参加し、1893年には労働党所属の議員としてクイーンズランド植民地議会に選出されました。

彼は1899年の選挙で当選し、一時的ではありますがアンダーソン・ドーソン首相の下で閣僚を経験します。1901年にオーストラリア連邦が成立すると、フィッシャーは連邦議会議員としてワイド・ベイ選挙区から出馬し、議席を得ました。1904年にはクリス・ワトソン政権で貿易・関税担当相を務め、その後労働党の副党首に選出されました。

1907年にフィッシャーは労働党の党首に就任します。当初は保護貿易を支持していましたが、1908年にはアルフレッド・ディーキンの少数与党政権との協力を終了させ、フィッシャー自身が首相に就任しました。この第1次政権は短命でしたが、1909年に自由党に再び政権を奪われることとなります。

1910年の総選挙では、フィッシャーの指導の下で労働党が勝利し、初めて安定した政権を樹立しました。この第2次政権では多くの改革が実施されました。老齢および障害者年金の制度化、労働者の権利保障、オーストラリア・コモンウェルス銀行の設立、オーストラリア横断鉄道の着工、さらにはオーストラリア首都特別地域の設立など、多岐にわたる政策が打ち出されました。

しかし、フィッシャーの政権は1913年の選挙で自由党に惜敗し、ジョゼフ・クックに首相職を譲ることになりました。翌1914年、クック首相は議会を解散し、フィッシャーは再び労働党の指導者として第3次政権を樹立しました。この際、フィッシャーはオーストラリアがイギリスを最後まで支えることを強調しました。しかし、第一次世界大戦が勃発すると、フィッシャーは参戦に対する意見の違いから1915年にビリー・ヒューズに首相職を譲ることになります。

その後、フィッシャーはオーストラリアの駐英高等弁務官に任命され、1916年から1920年までロンドンに駐在しました。彼の退任後は一時帰国しますが、再びロンドンに戻り、1928年10月22日に66歳で亡くなりました。フィッシャーは労働党の首相として5年間在任し、ボブ・ホークに次いで長い期間を保持しました。

彼の業績はオーストラリアの歴史においても高く評価されており、労働者の権利向上や社会制度の確立に多大な貢献をしました。

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