ボブ・ホーク

ボブ・ホーク (Robert James Lee Hawke)

オーストラリアの政治家であるボブ・ホークは、1929年に南オーストラリア州ボーダータウンに生まれ、2019年5月16日に逝去した。彼はオーストラリア労働党の代表として知られ、同時に第23代オーストラリア首相も務めた。ホークは政治家としてのキャリアを通じて、アジア太平洋経済協力(APEC)の提唱や、オーストラリアの経済改革に大きく寄与したことで、多くの人々に記憶されている。彼の任期は1983年から1991年までの約8年間にわたり、労働党の首相としては最も長く、オーストラリア史上でもロバート・メンジーズやジョン・ハワードに次ぐ長期政権であった。

学歴と初期のキャリア

ボブ・ホークは宗教家であった父と教師であった母のもとに育ち、西オーストラリア大学で法学を学んだ。その後、ローズ奨学金を受けてオックスフォード大学に進学。オックスフォード在学中にはビールの早飲み競争で、2.5パイント（1.4リットル）を11秒で飲み干すという世界記録を樹立した。また、彼はそこで後の妻ヘイゼルと出会い、1956年に結婚した。

大学卒業後はオーストラリア労働組合評議会(ACTU)で研究員となり、1979年には議長に選出されるまでの長い歴史を持つ。1980年には政治の世界に足を踏み入れ、ビクトリア州ウィルズから連邦議会に当選する。彼は労働党の指導権を掌握し、1983年の連邦選挙でマルコム・フレーザー政権に対して大勝し、首相としての地位を確立した。

政治経歴

首相在任中のホークは、様々な政策を推進した。特に注目すべきは、オーストラリア経済の規制緩和であり、多くの企業を国営化する政策には慎重な姿勢を見せた。また、彼はアジア太平洋経済協力の礎を築いたことで、国際的な影響力を高めた。1991年、ポール・キーティングに首相の座を譲り、政界を退いたが、その後も政治への関与を続け、2019年の総選挙では、労働党への支持を訴えかけた。

政治的立場

ホークは労働党内で穏健派に位置づけられ、党内の論争においても独自の立場を保持した。イギリス王室に対しては理解を示しつつも、オーストラリアが共和制に移行することに対しては否定的だった。1989年の天安門事件に対する彼の反応は中国政府への非難であり、ネルソン・マンデラを支持する姿勢も見せた。また、南アフリカのアパルトヘイトに対しては強く反対するなど、国際的な問題にも積極的に意見を表明している。

趣味と栄誉

首相から退任後も、ホークは競馬に情熱を注ぎ、特に日本の競馬に対しても興味を持っていた。彼は日本の牧場を訪れたり、テレビ東京の競馬番組にゲスト出演した経歴もある。また、立教大学からは名誉教授の称号が与えられ、彼の功績は国内外で認められている。更に、2012年には日本から旭日大綬章を受章し、国際的な友好関係にも寄与した。

ホークは、オーストラリアの多くの人々に愛され、政治の歴史に名を刻んだ偉大な首相であった。

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