アンドレ・ジッド

アンドレ・ポール・ギヨーム・ジッドの生涯と業績

アンドレ・ポール・ギヨーム・ジッド（André Paul Guillaume Gide）は1869年11月22日にパリで生まれ、1951年2月19日に亡くなったフランスの小説家です。彼は文壇誌『新フランス評論』の創刊者の一人であり、特に日記文学の第一人者として知られています。ジッドの作品は、人間の自由とキリスト教の道徳との対立を主題としており、その背景には幼少期に受けた宗教教育と性的欲求の葛藤があります。彼の直筆の日記は、半世紀以上にわたって書かれ、フランス文学の重要な作品となっています。

生い立ちと初期の人生

ジッドは、父ジャン・ポール・ギヨーム・ジッドと母ジュリエットのもとに生まれました。父はパリ大学の法学部教授で、プロテスタントの家系に属していました。幼少期には異なる場所を訪れながら育ち、6歳からピアノを習い始める一方、学業は思い通りに進まないことも多かったです。特に彼は、少年時代にさまざまな停学や病気を経験し、最終的にはパリに戻ることになります。この時期には、ゴーティエやハイネといった作家に親しみを持ち、文学への興味を深めていきます。

北アフリカへの旅

1892年には兵役に就いたものの健康を損ね、すぐに除隊。その後、親友のポール・アルベール・ローランスとともに北アフリカを旅行し、ここでの体験が後の作品に大きな影響を与えました。この旅を通じて、彼は同性愛や異文化との関わりを経験し、キリスト教的な束縛から解放される転機を迎えます。

文学的な活動と主要作品

1895年にマドレーヌと結婚し、同年『パリュード』を発表します。この作品は、象徴主義との決別を意味し、1897年には『地の糧』を執筆。出版当初は評価されませんでしたが、後の世代に影響を与えることとなりました。1902年には『背徳者』を発表し、生の価値と快楽の追求を描いた作品が評価されます。また、彼が編集に関与した『新フランス評論（NRF）』は、文壇に多大な影響を与えました。

さらに、1914年には『法王庁の抜け穴』を発表。この作品では、ローマ法王やフリーメイソンを皮肉や批判の対象にし、道徳的なテーマを扱います。ジッドは作品を「レシ」（物語）や「ソチ」（茶番劇）と分類し、それぞれの特徴を強調しました。

私生活と社会的影響

1930年代には、特に若い男性との関係においても葛藤を抱え、自伝的な要素が強い『日記』へと表れます。彼は1926年に発表した『贋金つくり』において、作品中の作家を通じて自身の考えを反映し、後の作者達に影響を与えました。また、アフリカおよびロシア訪問を通じて、彼は政治的な立場を明確にし、植民地支配と共産主義に対する独自の視点をもたらしました。

晩年と遺産

戦後の1945年にゲーテ賞を受賞し、1947年にはノーベル文学賞を受賞。しかし、彼の死後、ローマ教皇庁によってその著作の多くが禁書に指定される事態となりました。ジッドの作品は日本においても紹介され、多くの文人に影響を与えたことが評価されています。彼の作品は、今もなお多くの読者に読まれ続け、近代文学における重要な役割を果たしています。

もう一度検索