アンナ・ド・ノアイユ

アンナ・ド・ノアイユの生涯と業績

アンナ・ド・ノアイユ（Anna de Noailles）は、1876年11月15日にパリで生まれました。彼女の本名はアンナ＝エリザベート・ビベスコ・ド・ブランコヴァンで、ルーマニアの貴族の血筋を引いています。父はビベスコ家のグレゴワール・ビベスコ＝バッサラバ、母は音楽家のラルカ・ムスロスでした。彼女は、文人としてのチャンスを得る前に、1897年にはノアイユ公爵と結婚し、以降はアンナ＝エリザベート・ド・ノアイユ伯爵夫人として知られるようになります。

彼女の文学のキャリアは20世紀に入ってから始まりました。1901年、処女詩集『百千の心』（Le Cœur innombrable）を出版し、文壇デビューを果たします。この詩集を通じて、彼女は恋や青春、死を題材にした流麗な詩風で高く評価され、次第にフランス文壇の中心人物へと成長していきます。

彼女の活動は詩にとどまらず、文学サロンの主催者としても知られ、ポール・クローデルやアンドレ・ジイド、ジャン・コクトーなど、当時の文豪が集う場を作り上げました。サロンでは文学のみならず、芸術全般にわたっての交流が行われ、彼女が持つ魅力が多くの人々を惹きつけました。

アンナ・ド・ノアイユはその美貌でも知られ、多くの画家たちに肖像画が描かれました。特に、オーギュスト・ロダンによる彫刻作品が存在し、現在ではロダン美術館に展示されています。さらには、藤田嗣治による彼女の肖像もあり、これはDIC川村記念美術館に所蔵されています。

また、彼女は国際的に評価された作家でもあり、1904年にはヴィ・ウールーズ賞創設に貢献し、1903年に設立されたゴンクール賞に続く重要な文学賞「フェミナ賞」を提唱しました。これらの功績により、彼女はフランス文学において不可欠な存在となりました。

晩年には、1931年に女性として初めてレジオンドヌール勲章のコマンドゥールを受勲し、1941年にはアカデミー・フランセーズ文学大賞を獲得するなど、名誉ある地位を確立しています。

彼女の文学活動は、詩だけにとどまらず、小説にも及びます。1904年には『びっくりした顔』（Le Visage émerveillé）、そして1905年には『支配』（La Domination）などを発表しています。また、彼女の自伝『わが世の物語』（Le Livre de ma vie）は、2000年に日本語訳で出版されています。

1933年4月30日、アンナ・ド・ノアイユはパリで逝去し、ペール・ラシェーズ墓地に彼女の眠りにつくこととなりました。彼女は56歳でした。後世に残した彼女の作品や影響は、今なお文学界に広く愛されています。

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