アンノウン・プレジャーズ

ジョイ・ディヴィジョンの記念碑的作品『アンノウン・プレジャーズ』は、1979年6月15日に発売されました。このアルバムは、発売当初は商業的な成功を収めませんでしたが、時代を超えて高く評価されるポストパンクの傑作として、現在では広く知られています。

音楽雑誌『メロディ・メイカー』誌では、ジョン・サヴェージが「この年のどのLPよりも最高のものとなるだろう」と絶賛する記事を掲載。しかし、この高い評価にも関わらず、リリース当時はチャートに全く入らず、大きな話題にはなりませんでした。しかし、フロントマンであるイアン・カーティスの悲劇的な死後、状況は一変します。1980年8月、アルバムはようやく全英チャートにランクインし、最高位5位まで上昇しました。

このアルバムの評価は、発売後すぐに高まったわけではありませんでした。しかし、時とともにその価値は再認識され、多くの音楽評論家やリスナーから絶賛されるようになりました。『NME』誌では異例の満点10点を獲得し、『Q』誌の「The 100 Greatest British Albums ever」では19位に選出されています。これらの評価からも、このアルバムがいかに高く評価されているかがわかります。

『アンノウン・プレジャーズ』のプロデュースはマーティン・ハネットが担当しています。特筆すべきは、その象徴的なアルバムジャケットでしょう。初めて発見されたパルサー、PSR B1919+21（旧名：CP 1919）の波形がデザインされており、その独特の視覚表現は、アルバムの世界観を効果的に表現しています。ジャケットのデザインには、ジョイ・ディヴィジョン、ピーター・サヴィル、クリス・メイサンがクレジットされています。

収録曲も、アルバム全体の評価を決定づける上で重要な要素です。代表曲である「Disorder」や「Shadowplay」などの楽曲は、その独特のリズムと、イアン・カーティスの深く陰鬱なボーカルによって、リスナーに強い印象を与えます。他の楽曲も、それぞれに魅力的な個性を持っており、アルバム全体を通して、一貫したダークで重厚な世界観が構築されています。それぞれの楽曲の長さは様々ですが、短い曲から長い曲まで、それぞれの魅力を十分に発揮しています。例えば、「I Remember Nothing」は5分53秒と、アルバムの中でも特に長い楽曲であり、この曲におけるイアン・カーティスのボーカルのパフォーマンスは、聴く者の心を深く揺さぶります。

『アンノウン・プレジャーズ』は、その音楽性、ジャケットデザイン、そしてイアン・カーティスの存在によって、ポストパンクという音楽ジャンルにおいて、極めて重要な位置を占める作品となりました。時代を超えて愛され続ける、まさに不朽の名盤と言えるでしょう。そのダークで重厚なサウンド、そして独特の世界観は、多くのアーティストに影響を与え続け、ポストパンクシーンの礎を築いた作品と言えるでしょう。発売から年月が経った現在でも、多くのリスナーに聴かれ続け、その魅力は色褪せることはありません。

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