アンハルト＝ツェルプスト

アンハルト＝ツェルプスト侯領：歴史と変遷

アンハルト＝ツェルプスト侯領（Fürstentum Anhalt-Zerbst）は、現在のドイツ、ザクセン・アンハルト州に位置していた神聖ローマ帝国の侯領の一つです。この侯領は、アスカン家のアンハルト侯領が分割された結果、1252年に初めて成立しました。

侯領の成立と変遷

アンハルト地方では、分割によって複数の侯領が形成されることが繰り返されました。アンハルト＝ツェルプストは1561年にアンハルト＝デッサウと統合されますが、1603年には再び分割が行われ、アンハルト＝デッサウ、アンハルト＝ケーテン、アンハルト＝ベルンブルク、アンハルト＝プレッツカウなどの侯領が誕生しました。アンハルト＝ツェルプスト侯は、ツェルプストを拠点としていました。

歴史

アスカン家のブランデンブルク辺境伯は、バルビー領主にツェルプストの城、町、そしてその周辺地域を委ねていました。1307年、アンハルト侯アルブレヒト1世がこの地域をバルビー領主から獲得し、アンハルト系アスカン家の支配下に入ります。当初はブランデンブルク領だったこの地域は、ケーテン城を本拠地とするアンハルト家の支配下に入りました。

ジークムント1世は、1396年まで兄弟たちと共同で統治を行い、その後、分割相続の結果、デッサウとツェルプストを手に入れました。しかし、彼はデッサウ城に居住しました。1544年、ジークムント1世の曾孫であるヨハン4世は、新たな遺産分割によりアンハルト＝ツェルプストを独立した侯領として受け取り、ツェルプスト城とエルベ川流域のロスラウ城に移りました。

1606年、アンハルト全土が改革派に改宗しましたが、1644年にはアンハルト＝ツェルプストはルター派の信仰に戻りました。しかし、アンハルトにおける二つのプロテスタント信仰の存在は、大きな影響を及ぼすことはありませんでした。

1667年、複雑な相続手続きを経て、フリースラントのイェファーの領地を継承しました。しかし、侯爵自身がこの遠く離れた地域を訪れることはほとんどなく、通常は近親者が代理人を務めました。1717年のクリスマスには、この地域は大洪水に見舞われ、1,000人以上が犠牲になりました。

1667年から1677年にかけて、コスヴィヒ城が建設されました。1681年から1696年にかけて、カール・ヴィルヘルムは荒廃したツェルプスト城をバロック様式の邸宅に改装し、そこに居を移しました。1674年、カール・ヴィルヘルムはドルンブルクの飛び地にある城も手に入れ、そこに新しい城を建て、弟のヨハン・ルートヴィヒ1世に譲りました。

1742年にカール・ヴィルヘルムの息子ヨハン・アウグストが亡くなると、侯領はアンハルト＝ツェルプスト＝ドルンブルク侯ヨハン・ルートヴィヒ1世の息子であるヨハン・ルートヴィヒ2世と、プロイセン軍元帥を務めシュテッティンに住んでいた弟のクリスティアン・アウグストに引き継がれました。クリスティアン・アウグストの息子フリードリヒ・アウグストは1747年にアンハルト＝ツェルプスト侯となりました。フリードリヒ・アウグストが1752年に成人するまでは母ヨハンナ・エリーザベトが統治し、1750年からは焼け落ちたドルンブルク城を未亡人の住居として壮麗なバロック様式の邸宅に改装しました。ヨハンナ・エリーザベトの兄アドルフ・フレドリクは1751年にスウェーデン王位に就き、娘ゾフィー（後のエカチェリーナ2世）はプロイセン王フリードリヒ2世の勧めで1743年にロシアの王位継承者ピョートルと結婚していました。

しかし、七年戦争の初期段階で、ヨハンナ・エリーザベトとその息子フリードリヒ・アウグストは、ロシアと戦争中のプロイセンと対立しました。そのため、1758年にプロイセン軍が侯領を占領し、ヨハンナ・エリーザベトとフリードリヒ・アウグストは海外に逃亡しました。ヨハンナ・エリーザベトは2年後にパリで亡くなりましたが、フリードリヒ・アウグストはほとんどをバーゼルで過ごし、最後にルクセンブルクに滞在しました。フリードリヒ・アウグストは領地を評議員に統治させたため、その治世は混乱を極めました。1778年から1783年にかけて、フリードリヒ・アウグストはツェルプストとイェファーの連隊（合計1,152人）をイングランドに売却し、アメリカの植民地に向かわせました。しかし、兵士の多くは航海中に命を落としたり、新大陸到着後に脱走しました。

1793年、フリードリヒ・アウグストは男子後継者を残さずに亡くなりました。ツェルプスト侯領は1797年にアンハルト＝ベルンブルク、アンハルト＝ケーテン、アンハルト＝デッサウの他のアンハルト侯領に分割されました。1797年12月28日、ツェルプストの町がくじ引きでアンハルト＝デッサウ侯レオポルト3世の手に落ちました。イェファー領は女子相続が認められていたため、姉のエカチェリーナ2世に譲られ、1818年までロシアの統治下に置かれました。フリードリヒ・アウグストの未亡人フリーデリケ・アウグステ・ゾフィー（1744年 - 1827年）は、義姉エカチェリーナ2世により「ロシア帝国の総督」に任命され、1806年まで務めました。

1994年から2007年7月1日まで、アンハルト＝ツェルプストの名はザクセン＝アンハルト州のアンハルト＝ツェルプスト郡の名として復活しました。

歴代侯爵

ジークフリート1世（1252年 - 1298年）
アルブレヒト1世（1298年 - 1316年）
アルブレヒト2世（1316年 - 1362年）
ヴァルデマール1世（1316年 - 1368年）
ヨハン2世（1362年 - 1382年）
ジークムント1世（1382年 - 1396年）
ヨハン4世（1544年 - 1551年）
カール1世（1551年 - 1561年）
ルドルフ1世（1603年 - 1621年）
ヨハン6世（1621年 - 1667年）
カール・ヴィルヘルム（1667年 - 1718年）
ヨハン・アウグスト（1718年 - 1742年）
ヨハン・ルートヴィヒ2世（1742年 - 1746年）
クリスティアン・アウグスト（1742年 - 1747年）
* フリードリヒ・アウグスト（1747年 - 1793年）

まとめ

アンハルト＝ツェルプスト侯領は、その成立から終焉まで、分割、統合、そして戦争といった激動の歴史を経験しました。アスカン家の統治下で、この地域は独自の文化と歴史を育みましたが、後継者問題や国際情勢の影響を受け、最終的には他の侯領に分割されることとなりました。しかし、その名は郡の名として残り、記憶されています。

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