アンバー家の館

キャッスル・アンバー (Castle Amber)

『キャッスル・アンバー』は、トム・モルドヴェイによってデザインされたダンジョンズ&ドラゴンズ (D&D) の冒険モジュールです。D&Dエキスパートセットと共に使用するためにデザインされた2番目のモジュールとして、1981年に発表されました。1986年には『アンバー家の館』というタイトルで日本語版も出版されています。

プロット

プレイヤーキャラクターは、旅の途中で致命的な霧に包まれ、アンバー城（シャトー・ダンブルビル）と呼ばれる巨大な城に迷い込みます。この城は、魔道士貴族エティエンヌ・ダンブルビルが、自身を殺した親族たちにかけた呪いによって存在しています。城からの脱出を目指すプレイヤーは、城内を探索し、狂気に染まったダンブルビル一族や敵対的な住人たちを乗り越え、アヴェロワーニュへと繋がる隠された入口を見つけなければなりません。

アヴェロワーニュは、クラーク・アシュトン・スミスの作品に登場する世界であり、魔法が疑われ、呪文の使い手が異端審問にかけられる危険な場所です。プレイヤーは、呪いを打ち破り故郷へ帰るため、ステファン・アンバーが眠る異次元の墓所への道を探すことになります。

特徴

ゴシックホラーとクトゥルフ神話の融合: 城には、ブレインコレクターのような奇妙なモンスターが登場し、ラブクラフト的な雰囲気も漂っています。
アヴェロワーニュの世界観: クラーク・アシュトン・スミスの作品世界を舞台に、独特の魔法観や社会観が反映されています。
探索と謎解き: 城からの脱出には、緻密な探索と、ダンブルビル一族の狂気の謎を解き明かす必要があります。

出版履歴

1981年: トム・モルドヴェイによるデザインで、32ページの小冊子とカバー（エロル・オータスによるアート）で出版。
1986年: 株式会社新和から日本語版『アンバー家の館』が出版。

このモジュールは、クラーク・アシュトン・スミスのアヴェロワーニュ物語群から着想を得ており、文学的な翻案の成功例とされています。アンバー一族は、スミスの物語には登場しませんが、アヴェロワーニュとの繋がりを演出するためにデザイナーによって創り出されました。

スタッフ

作成: デイヴ・クック、アレン・ハンマック、ハロルド・ジョンソン、トム・モルドヴェイ、ジョン・ピケンズ
編集: ハロルド・ジョンソン、エドワード・ソレルス、スティーブ・ウィンター
アートワーク: ジム・ホロウェイ、ハリー・クイン、ジム・ロスロフ、スティーブン・D・サリヴァン、エロル・オータス

続編

Mark of Amberは、オリジナルの『キャッスル・アンバー』の続編/再製作版として、1995年にボックスセットで発売されました。オーディオCD、ポスター型地図、プレイヤーハンドアウトが付属していましたが、短命に終わったマスターズシリーズの1つでした。

評価

『キャッスル・アンバー』は、2004年にダンジョン誌の｢greatest Dungeons & Dragons adventure of all time｣で15位にランクインしました。また、ドラゴン誌でも懐かしむ記事が掲載されています。

一方で、ホワイトドワーフ誌では、10段階評価で6という評価を受けており、混沌とした冒険であり、運に大きく左右される点が指摘されています。

『キャッスル・アンバー』は、ゴシックホラーとクトゥルフ神話、そしてアヴェロワーニュの世界観が融合した、独特なD&D冒険モジュールとして、多くのファンに愛されています。

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