アンモニア吸収冷凍機

アンモニア吸収冷凍機とその仕組み

アンモニア吸収冷凍機は、冷媒にアンモニア、吸収液に水を用いる独特の冷凍機です。この技術の理論は1777年に初めて提唱され、1810年にはスコットランドのジョン・レスリーによって間欠式冷凍機が製作されました。さらに1860年には、フランスのフェルディナン・カレが連続式冷凍機の特許を取得し、アメリカにおける冷凍技術の発展が進んでいきました。

このタイプの冷凍機は1910年代前半までは広く使用されていましたが、蒸気圧縮冷凍機の技術が進化するにつれ、新設の機会は少なくなりました。しかし、1990年代にフロン類使用に対する規制が強化され、省エネルギーを重視する中で、新たな導入が見直されるようになりました。特に、スウェーデンのドメティック社がこの分野での代表的なメーカーとして知られています。

特徴と利点

アンモニア吸収冷凍機は、水と臭化リチウムを使用した冷凍機と比較していくつかの特長を持っています。まず、吸収液の結晶化がないため、-60℃までの低温冷却が可能であり、冷凍用途にも適しています。また、内部が正圧で動作することから、空気熱交換がしやすいのも利点です。ただし、圧力容器としての規制を受けるため、その点には注意が必要です。

アンモニアは有害な物質であるため、漏洩に備えて除害装置を設置することも重要です。また、空調用途での効率は他の冷凍機と比較してやや劣るため、使用場面を選ぶ必要があります。

サイクルの流れ

アンモニア吸収冷凍機の動作サイクルは次のようになります。

1. 蒸発器で液体アンモニアが気化し、冷却が行われます。
2. 気化したアンモニアは、過冷却器でさらに冷却されて吸収器に移送されます。
3. 吸収器では、水にアンモニア蒸気を吸収させ、濃度を調整します。
4. 吸収液ポンプによって、溶液は液熱交換器へ送られ、熱交換が行われます。
5. 再生器で熱を加え、溶液を加熱し、分離器でアンモニアを水から分けます。
6. 分離されたアンモニアは凝縮器で冷やされ、液化されます。
7. 凝縮器から圧力を下げられたアンモニア液が過冷却器へ移送され、さらに熱交換が行われると元の蒸発器に戻ります。
8. 一方、再生器から水が液熱交換器を通り、吸収器で冷却される仕組みが繰り返されます。

この一連のプロセスは、効率的でエネルギーを節約した冷却機能を実現しています。

関連項目

• - 吸収式冷凍機: 他の冷凍機との比較に役立つ情報。
• - 冷凍機: 冷凍機の種類や用途についての一般的な情報。
• - 熱力学サイクル: 冷凍サイクルに関する理論と原則。

このように、アンモニア吸収冷凍機は、歴史的背景とともに進化を遂げ、現在でもエネルギー効率を高めるための重要な技術として位置付けられています。

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