フロン類

フロン類とは

フロン類（フロンるい）は、炭素、水素、フッ素、塩素、臭素などのハロゲンを含む化合物の総称です。具体的にどの物質を指すかは文脈によって異なります。20世紀の中盤には、冷媒や溶剤として広く利用されていましたが、その一方でオゾン層の破壊や温室効果ガスの発生に寄与することが知られるようになりました。これを受け、モントリオール議定書を含む多くの国際的な協定や法律により、特に先進国ではその使用が厳格に制限されています。

日本では「フロン」という名称は俗称であり、国際的にはデュポン社の商標「フレオン(freon)」と呼ばれています。

フロン類の分類

狭義の「フロン」は、炭素、フッ素、塩素だけからなるクロロフルオロカーボン（CFC）を指しますが、その他にも様々な種類が存在します。それには、塩素を含まないフルオロカーボン（FC）、水素を含むハイドロクロロフルオロカーボン（HCFC）、ハイドロフルオロカーボン（HFC）、および臭素を含むハロンが含まれます。モントリオール議定書に掲げられた物質も広く「フロン類」として認識されています。

フロン類は、ISO 817によって冷媒番号が指定されています。この番号は「R」という文字で始まり、その後に続く2から4桁の数字とアルファベットが組み合わさって表記されます。例えば、冷媒番号R12はジクロロジフルオロメタン CCl2F2（CFC-12）を示し、R115はクロロペンタフルオロエタン C2F5Cl（CFC-115）に対応します。

特定フロンは、モントリオール議定書で特にオゾン層を破壊する影響が強いとされるフロン類を指し、最初はCFC-11、CFC-12、CFC-113、CFC-114、CFC-115の5種類でしたが、1992年には15種類に拡大されました。

フロン類の歴史

アメリカにおける動向

フロン類は、初めて家庭用冷蔵庫の冷媒として開発されました。1920年代、ゼネラルモーターズ（GM）社は、アンモニアの代替物質を探し、研究を進めました。1928年にはフロン12が開発され、GMは1980年代中盤までフロンの商業生産を開始しました。しかし、1974年には科学雑誌『Nature』にて、フロンがオゾン層に悪影響をもたらす可能性が指摘され、問題が浮上しました。その結果、国際的な共同研究が進められ、1987年にはモントリオール議定書が採択され、CFCの製造と輸入が全面的に禁止されました。

1990年代になると、CFCだけでなくHCFCやHFCも温室効果ガスとして問題視されるようになり、1997年の京都議定書によってさらなる規制が進められることになりました。

日本での経緯

日本では、ダイキン工業が1935年に無毒で腐食性のない冷媒として「ダイフロン」を開発しました。1959年にはデュポンからの商標の警告を受け、日本冷凍機製造協会が「フロン」に名を改めました。1988年にはオゾン層保護を目的とした法律が制定され、1996年までにCFCを含む特定フロンは全廃されました。さらに、フロン回収破壊法や家電リサイクル法などが制定され、適切な廃棄処理が義務づけられています。

フロン類の性質と用途

フロン類の物理的性質は、種類によって異なります。一般に色がなく無臭で、安定した性質を持っているため、多様な用途で使用されます。冷媒、溶剤、発泡剤、消火剤、エアゾール噴霧剤として広く利用されています。有機化学の分野ではハロゲン化アルキルやハロアルカンとして知られています。

しかし、オゾン層に対する影響や温室効果ガスとしての問題が指摘される以上、これらの化合物については今後も注意が必要です。

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