アンリ・ド・ラカーズ・デュティエ

フェリックス・ジョゼフ・アンリ・ド・ラカーズ＝デュティエ

フェリックス・ジョゼフ・アンリ・ド・ラカーズ＝デュティエ（1821年5月15日 - 1901年7月21日）は、フランスの著名な動物学者であり、特に海洋生物学における先駆的な研究で知られています。彼はロスコフ生物学研究所の創設者としてもその名を歴史に刻んでいます。

生涯と業績

ラカーズ＝デュティエは、ロット＝エ＝ガロンヌ県モンペザで生まれました。パリ大学で医学を修めた後、アルマン・トルソーのもとでNecker Hospitalに勤務しました。初期の頃からジュール・アイメと共に地中海のバレアレス諸島で海洋生物の調査を行うなど、海洋生物学への関心を深めていきました。

1854年には、パリ自然史博物館でアンリ・ミルヌ＝エドワールの助手となり、その後リール大学の動物学教授に就任しました。1865年には、アシル・ヴァランシエンヌの後任としてパリ自然史博物館の貝類・植虫類部門の研究員となり、1868年にはパリ大学の教授に就任しました。1871年にはフランス科学アカデミーの会員に選出され、その学術的な貢献が広く認められました。

ラカーズ＝デュティエは、サンゴや貝類などの海洋生物の解剖学や発生に関する研究で特に知られています。1864年には、彼の代表的な著作の一つである『サンゴの自然史』を発表し、サンゴ研究における重要な貢献を果たしました。

1872年にはロスコフ生物学研究所を、1882年にはバニュルス＝シュル＝メール海洋学研究所（Laboratoire Arago）を創設し、海洋生物学の研究拠点としての役割を確立しました。また、1872年には学術誌 "Archives de zoologie expérimentale et générale" を創刊し、動物学研究の発展に寄与しました。1897年には王立協会外国人会員に選出されています。

彼の業績を称え、溝腹綱の種であるStrophomenia lacazeiなどに献名されています。

主な著作

Recherches sur l'armure génitale femelle des insectes. L. Martinet, Paris 1853
Voyage aux iles Baléares, ou Recherches sur l'anatomie et la physiologic de quelques mollusques de la Méditerranée. Librairie de V. Masson, Paris 1857.
Histoire de l'organisation. Du développement, des moeurs et des rapports zoologiques du dentale. Librairie de V. Masson, Paris 1858.
Un été d'observations en Corse et à Minorque, ou Recherches d'anatomie et physiologie zoologiues sur les invertébrés des ports d'Ajacio, Bonifacio et Mahon. Librairie de V. Masson, Paris 1861.
Histoire naturelle du Corail. Bailliere, Paris u. a. 1864.
Recherches de zoologie, d'anatomic et d'embryogérie sur les animaux des faunes maritimes de l'Algérie et de la Tunisie. Librairie de V. Masson, Paris 1866.
Le monde de la mer et ses laboratoires. de Chaix, Paris 1888.

参考文献

Philippe & Edward R. Jaussaud Brygoo (2004). Museum in the Garden From 516 biographies . National Museum of Natural History in Paris: 630 p.

ラカーズ＝デュティエの研究は、海洋生物学の基礎を築き、後進の研究者に多大な影響を与えました。彼の創設した研究所は、現在も海洋研究の重要な拠点として機能しています。

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