アン・キャロル・ムーア

アン・キャロル・ムーア

アン・キャロル・ムーア（Anne Carroll Moore、1871年7月12日 - 1961年1月20日）は、アメリカの図書館員であり児童文学評論家として知られています。彼女は、キャロライン・ヒューインズと共に児童図書館の先駆者とされ、その活動を通じて多くの子どもたちに文学の世界を広げることに尽力しました。

生涯の早期からの歩み

ムーアはメイン州リメリックに生まれ、20歳でブラッドフォード・アカデミーを卒業しました。しかし、1892年に両親が亡くなると、彼女はニューヨークに移住し、プラット学院で図書館学を専攻しました。1896年に卒業すると、プラット学院附属図書館に児童図書館担当として採用され、そこから彼女の図書館員としてのキャリアが始まりました。

プラット学院での活動

ムーアは、プラット学院の児童図書館を開架式の公開図書館に改革し、児童が楽しめる環境を整えました。ストーリーテリングを重視したサービスを行い、テーマ別の図書リストや図書の展示も行いました。また、学校との連携を始め、地域の児童の読書支援にも貢献しました。彼女のこのような取り組みは、今日の児童サービスの基盤となっています。

ニューヨーク公共図書館での役割

1906年には、ニューヨーク公共図書館の児童図書の責任者に就任。全ての分館に児童室を設置し、利用年齢の制限を撤廃するなど、児童サービスの拡充に努めました。1911年には本館が新設され、その中に彼女が手がけた華やかな児童室が設けられました。この児童室のデザインは、今後の児童図書館のモデルとして多くの図書館に影響を与えました。

児童書評の貢献

1919年頃からは、アメリカで盛んになった児童図書の品質がバラツキがあることに危機感を抱き、図書館に子どもに読ませたい良書が少ないと感じるようになりました。そこで、児童図書の書評を始め、1918年から1926年まで『ザ・ブックマン』の児童書評欄を担当し、その後も『ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン』や『ホーン・ブック・マガジン』での書評を通じて多くの児童文学に寄与しました。

著作と受賞歴

ムーアは児童文学だけでなく二冊の童話や随筆も執筆しました。また、彼女の活躍はさまざまな受賞に繋がり、1925年には『Nicholas:A Manhattan Christmas Story』がニューベリー賞佳作に選ばれました。さらに、1940年にはメイン大学から文学博士号が授与され、1941年には女性全国図書館協会から最初の「コンスタンス・リンゼイ・スキナー賞」を受けました。

晩年と影響

1941年にはニューヨーク公共図書館を定年退職しましたが、その後も児童文学や読書活動についての評論を続け、カリフォルニア大学バークレー校の図書館学校で教鞭を取るなど、教育分野にも貢献しました。1961年に89歳で逝去した彼女の業績は、現在の児童図書館の発展に大きく寄与しています。

まとめ

アン・キャロル・ムーアは、図書館活動や児童文学の発展に多大な影響を与えた人物です。彼女の情熱と献身的な働きは、今もなお多くの図書館や児童図書館員にとっての大きな指針となっています。彼女の生涯を通じた努力は、多くの子どもたちに読みの楽しさを届ける道を開いたのです。

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