ニューベリー賞

ジョン・ニューベリー賞：アメリカ児童文学の最高峰

ジョン・ニューベリー賞は、アメリカ合衆国における児童文学の最高峰として知られる賞です。1922年に創設され、18世紀の児童書出版者ジョン・ニューベリーにちなんで命名されました。アメリカ図書館協会（ALA）傘下の児童図書館サービス協会（ALSC）が運営しており、世界最古の児童文学賞の一つでもあります。

毎年、前年にアメリカ国内で出版された英語の児童書の中から、最も優れた作品が選出されます。受賞には、作品のテーマ、表現力、構成、プロット、登場人物、背景、文体などが総合的に評価され、児童読者への訴求力や文学への貢献度も重要な要素となります。また、独立した作品であることも条件となっており、シリーズ作品は対象外です。

ニューベリー賞のメダルは、ルネ・ポール・シャンベランがデザインし、フレデリック・G・メルヒャーが作成しました。メダルの裏面には、作家が子どもたちに作品を読み聞かせる様子が描かれています。受賞作の選考は厳正に行われ、多くの場合、受賞作に加えて佳作も複数選出されます。佳作には「ニューベリー名誉賞」が贈られます。この名誉賞は1971年に開始され、過去に出版された作品にも遡及的に授与される場合があります。

ニューベリー賞の影響力

ニューベリー賞は、アメリカにおける児童文学界に計り知れない影響を与えています。受賞作は、発表と同時に書店で大きく取り上げられ、図書館でも多くの注文が殺到します。教師たちも授業に取り入れるなど、教育現場にも広く浸透しています。多くの書店や図書館では、ニューベリー賞受賞作品専用の棚を設けており、テレビ番組では受賞者へのインタビューが放送され、教科書には受賞作品リストが掲載されています。さらに、ニューベリー賞受賞作品をテーマにした修士論文や博士論文も数多く発表されています。コールデコット賞と並んで、アメリカで最も重要な児童文学賞として認識されています。

ニューベリー賞受賞者

ニューベリー賞を複数回受賞した作家はわずか6名です。E・L・カニグズバーグ、ジョセフ・クラムゴールド、ロイス・ローリー、キャサリン・パターソン、エリザベス・ジョージ・スピア、ケイト・ディカミロの6名がそれぞれ2回受賞しています。一方、ニューベリー名誉賞を最も多く受賞した作家はローラ・インガルス・ワイルダーで、5回受賞しています。

賞をめぐる議論

ニューベリー賞の選考基準や受賞作品については、常に議論が絶えません。2008年には、児童文学専門家アニタ・シルヴィーが、選考された作品が子どもたちにとって難解であると批判する記事を発表しました。この意見には、コロンビア大学教育学部のルーシー・コーキンスも同意しています。また、セント・ジョーンズ大学のジョン・ビーチは、大人による選考と子どもたち自身による選考（国際読書協会のChildren's Choice Awards）を比較し、両者の間には5%しか重複がないという事実を指摘しています。このことは、大人の評価と子どもの好みが必ずしも一致しないことを示唆しています。

受賞作品リスト（2023年～1922年）

以下は、2023年から1922年までのニューベリー賞受賞作品リストです。(リストは省略)

まとめ

ジョン・ニューベリー賞は、アメリカ児童文学の隆盛に貢献してきた重要な賞です。選考基準や受賞作品をめぐっては様々な議論がありますが、その存在感は揺るぎないものとなっています。今後も、新たな才能の発掘と児童文学の発展に大きな役割を果たしていくことが期待されます。

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