アン・ドノバン

アン・ドノバン：女子バスケットボール界のパイオニア

アン・ドノバン（Anne Donovan、1961年11月1日 - 2018年6月13日）は、アメリカ合衆国ニュージャージー州リッジウッド出身の元女子バスケットボール選手であり、指導者としても輝かしい経歴を持つ人物です。実兄は熊谷組でプレーしていたジョン・ドノバン。

学生時代

地元の高校を卒業後、オールドドミニオン大学に進学。1979年にはチームをAIAWのチャンピオンに導くなど、その支配的なプレーで注目を集めました。オールアメリカンに3度選出され、1983年には初代女子ネイスミス賞を受賞するなど、早くからその才能を開花させました。

日本での活躍

大学卒業後、アン・ドノバンは日本のシャンソン化粧品に入団。204cmという身長は、日本リーグからWリーグを通じて、歴代の全選手の中で最も高い記録です。彼女はチームをオールジャパン初優勝、そして3連覇へと導きました。日本リーグでも3度の優勝を経験し、2度のMVPと3度のベスト5に選出。第20回大会（1986-87シーズン）では、リバウンド賞も合わせて獲得し、見事三冠を達成。シャンソン化粧品の第1次黄金時代を築き上げました。

1987年からは、イタリアのプロリーグでプレーしました。

アメリカ代表としての功績

アン・ドノバンは、アメリカ代表としても輝かしい実績を残しています。1984年のロサンゼルスオリンピック、1988年のソウルオリンピックの2大会で、チームを連覇に導き、金メダルを獲得しました。

指導者としてのキャリア

1989年に現役を引退後、アン・ドノバンは指導者の道へ進みます。母校であるオールドドミニオン大学のアシスタントコーチを経て、1995年にイーストカロライナ大学のヘッドコーチに就任。その後、ABL（アメリカン・バスケットボール・リーグ）を経て、WNBA（女子ナショナル・バスケットボール・アソシエーション）のインディアナ・フィーバー、シャーロット・スティングで指揮を執りました。

2002年には、ローレン・ジャクソンやスー・バードらを擁するシアトル・ストームのヘッドコーチに就任。2004年のプレイオフでは、女性ヘッドコーチとして史上初の王座に輝きました。ストームでは2007年まで指揮を執りました。

2006年には、女子アメリカ代表のヘッドコーチに就任。同年の世界選手権では3位に終わりましたが、2008年の北京オリンピックでは見事金メダルを獲得し、その手腕を発揮しました。オリンピック後、代表ヘッドコーチを勇退。

その後も、2009年にニューヨーク・リバティのアシスタントコーチに就任し、後にヘッドコーチに昇格。2010年には、シートン・ホール大学のヘッドコーチに就任しました。

2013年には、コネティカット・サンのヘッドコーチとしてWNBAに復帰しましたが、2015年に退任しました。

殿堂入りと早すぎる死

アン・ドノバンは、1995年にバスケットボール殿堂入りを果たし、その功績が讃えられました。さらに、1999年に設置された女子バスケットボール殿堂にも顕彰されています。

2018年6月13日、心不全のため死去。56歳という若さでした。彼女の死は、シアトル・ストーム、コネティカット・サン、シャンソンVマジックなど、日米のバスケットボール界に大きな悲しみをもたらし、多くのチームから追悼のメッセージが寄せられました。

アン・ドノバンは、選手として、指導者として、女子バスケットボール界に多大な貢献をした偉大な人物として、その名は永遠に語り継がれるでしょう。

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